君ラヴクエスト -第拾九章-
「ハアハア…」「カガミ!」

カガミはその声を聞くなり、その場にへたれ込む。

「あてずっぽに走ってもつかないわよ」「でも…タケルちゃんが…」

チヅルのカガミの肩に手を置き、じっとカガミの目を見る。

「タケルのことが心配なのは、あなただけじゃないのよ。ここに居る皆がそうなの…判る?」

「うむ。チヅルの言う通りだ」「だから、1人で突っ走らないで」

チヅルのその言葉に鏡は頷く。

「む!何者!」

メイヤは刀に手をかける。

「どうしたの?」「何者かが潜んでいる」「何ですって!」「何処にも見えないよ」

「隠れていないで、出て来るがよい。ケイ!」「ケイ!?」

物陰からケイが姿を表す。

「さすが…」「そなた、こんな所で何をしているのだ?」「道案内しに来たの」「本当に!」

ケイはコックリと頷く。

「こっち…」

ケイはさっさと歩き出す。

「信じて…大丈夫かしら?」「私は行く!」「私も大丈夫だと思うよ」「私もついて行こう」

「な、皆して…何だか、私だけ悪者みたいじゃない!」「チヅル〜!そんな所で何をしている」

「ちょ、ちょっと〜!待ちなさいよ〜!」


ハルカとタカユキはにらみ合ったまま、ピクリとも動こうとしない。

「タカユキ君…私が正気に戻してあげるから」「正気? 俺は何時だって正気さ。だから、お前を倒す!」

「私は、負けない!絶対に!」「ほ〜!そうか、だったら…死ねー!」

タカユキはハルカ目掛けて飛び掛る。ハルカはバリアーをはってかわす。

「今度は私の番だよ!右手にサイクロン、左手にファイアーボール。二つを合せて…ファイアストーム!」

高温の風邪の竜巻がタカユキ目掛けて飛んで行く。



「命乞いをするのだったら、彼のようにしてあげてもいいわよ」「残念だが、俺は貴様の手下にはならん!」

「そうです!命乞いをするくらいなら、死を選びます!」「とことん馬鹿な人達。自分から死を選ぶなんて」

「死を選んだとは限らないぜ! なぜなら、俺達はお前を倒すからだ!」「そうよ!私達は負けない!」

「あなたなんかには負けません!」「覚悟しときなさい!楽には死なせないから」

デビハルはスッと手を上にあげる。

「話も飽きてきたわね」「そうだな…」「本気でいかせてもらうわ」「全力でいきます!」

「私を敵に回したことを、公開させてやるさ!」「それは楽しみね〜!」



「ケイ…そなたは敵側の人間だったのでは無いのか?」「貰ったお金の分は働いたから」

「だからって、信用していいのかしら?」「嫌なら、ついて来なくもいいよ」

「だったら、一緒に戦えないかなー?」「それは無理!」「居るであろう、出てまいれ」

メイヤがそう言うと、何処からともなく、1人の女性が出てきた。

「お呼びでしょうか?」「うむ。この者に契約金を…」「かしこまりました。これでどうでしょか?」

その女性は、大金の入った袋をケイの前に差し出す。

「うわ〜。これだけあれば何ができるかなー?」「何処から出したのよ。こんな大きな袋…」

「これだけあれば、芋きんつばがどれ位買えるかな〜?」

ハルカのその発言に、カガミとチヅルはしらーっと見る。

「うん、判った…」「かたじけない。宜しく頼む」「先を急ごう。タカユキ君が心配だから」

「タケルちゃん…無事でいてね」「こっち!」

走り出したケイに続いて走り出す

第弐拾章に続く


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