君ラヴクエスト -第拾五章-
「これで皆さんの潜在能力が、使えるようになったはずですよ」「何処も変わってないわよ?」

「表向きにはそうなのさ。あんたは火の力が使えるはずさ。手に意識を集中してみろや」

ミツキは言われた通り、手に意識を集中させる。しばらくして、ミツキの手に火がつく。

「お、おい…ミツキ…熱くなのか?」「ううん。ぜんぜん」

ミツキは平気な顔で答える。

「私も何か出来るんでしょうか?」「はん!これだから乳臭いガキわ…」

アカネは、その言葉にピクっと必死でこらえる。

「あんたは風の力さ。そして、あんたは」『私?』「そう、あんたは水と氷さ」「ちょっと待て!」

「あん? 何か文句でもあるか? あるんだったらさっさと言え、ボケ〜!」

ふにゅ…。

「あいだだだだ…」「この2人は、まったく同じ人間なのに…」「どうして違うのかですね」

女神の雪さんはニッコリと笑いながら言う。

「それはですね。たとえ同じDNAを持っていても、同じ属性を持っているとは限らないのです」

「そうなんですか?」「はい。ですから、もう1人の貴方は闇の属性ですから」「はなへ〜!」

パッ!

「や、闇!」「はい。ですが、安心して下さい。貴方は光の属性ですから」「俺が…光?」「はい!」

俺が…光の属性。

「あの、剣を貸して頂けないでしょうか?」

驚いた顔で剣を指差す。雪女神はそれを見て頷く。剣を渡すと、剣に何やら力を注ぎ込み始める。

すると、剣の形が変わり始める。

「これで、あの剣と互角…いえ、それ以上の戦いが出来るでしょう。この光の剣があれば」

「光の剣…」「もともと、その剣はその力を持っていたのです。ですが、今のままではとても…」

「有難う御座います。これ、女神様だと思って大切にします」

それを聞いて雪女神は、ポッと顔を赤くする。



「タカユキ君、これでさようならだね」

ハルカはフッと笑い手を上に向ける。その手に炎が集まり始める。

「大丈夫だよ。一瞬だから、痛くも無いから…ファイアーボール!」

ハルカはそう叫びながら、火の玉をタカユキ目掛けて投げる。

「さらばだ、タカユキ…」「待ったー!」

タカユキの前に全身鎧姿の男が現れ、ファイアーボールを弾き飛ばす。

「大丈夫か?」「貴様!いったい何者?」「ふ、悪に名乗る名など持っていない!」

「邪魔しないで!私は、タカユキ君を倒すんだから」

ハルカがそう言い終わった後、背中に漆黒の羽が現れる、そのまま空へ飛び上がる。

「お前、誰だよ?」「今は名のない、だがいずれ判る。これを受け取れ」

鎧男はタカユキに1本の剣を渡す。

「これは?」「そのエターナルブレードを、ある人に届けてくれと頼まれたのだ!」

「タカユキ君…それと、そこの人。2人纏めてあの世にって頂戴! デスメテオ!」

ハルカがそう叫ぶと、無数の巨大隕石が振ってくる。

「く…仕方が無い。貴様をあの人の所に転送する」

そう言うと鎧男は、タカユキに片手をかざす。すると、タカユキは光に包まれ始める。

「後のことは、この俺に任せろ」「ちょっと待て…お前…」

タカユキは光に包まれて、何処かへ飛んで行く。

「ほ〜、逃がしたか。だが、俺達に勝つつもりでいるのか?」「ふふふ…馬鹿な人だね。死んじゃうよ」

「俺は簡単にはやられん!」「その減らず口、何処まで続くかな?」


「あいててて…ここは何処だ?」「タカユキさん。どうも始めまして、女神の雪です」

「雪…さん?」「あ、タカユキ君!」

タカユキはハルカを見るなり身が得る。それを見て、ハルカは怯えた表情をする。

「タカユキ…君…」「そうか、普通のハルカ何だんな。悪かった」「ううん。いいよ」

ハルカはスタスタとタカユキの側に行く。

「ハルカ!離れて、彼は敵なのよ!」「皆さん、タカユキさんは敵ではありませんよ」

「でも…」「アレは、私が頼んでしてもらった事なのです。敵の正体を探るために…」

「あんな事をしてたんだから、疑われても仕方が無いか…ミツキ、俺を一発殴れ!」「え?」

「気合を入れる意味でもあるし、俺のけじめでもあるんだ」「判ったわ」「宜しく頼む」

「私のこの手が真っ赤に燃える!タカユキを倒せととどろき叫ぶ!バーニング…ナックル!」

ミツキの炎を纏った拳で殴る。もちろん、タカユキは吹っ飛んでそのままのびてしまう。

「あ、やりすぎちゃったかな?」「そうしかないだろが〜!」「あは、あははは…」

ミツキは笑いながら走って逃げる。

「タカユキ君…大丈夫?」「すぐに治してあげるね」『ヒーリング』

「マユ達は、もう着いたかなー?」「そうですね〜。もう帰って来てもいい頃ですが…」

「もしかして、ここが判んないとかな」「そ、そんな事は…あるかも知れないさ」

「そうだな…」「そうですね…」「心配になって来たさ」

第拾六章に続く


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