君ラヴクエスト -第拾四章-
「ここだな」「そうみたいですね」「ちょっと、二人てし深刻な顔してるのよー。ここに書いてあるでしょ」

ミツキは立て札を指差す。そこには『女神神殿の入り口』と書いてある。

「やっと着いたーって感じが出ないだろ?」「別にでなくても良いじゃない!」「そうですけど…一応…」

「さっさと行きましょ!」「そうだな」「はい…」

神殿に向かって歩き出した時に、アユがハンカチを取り出して振っていた。

「お前も来るんだ!」

そう言ってアユを抱え上げ、神殿に向かって歩き出す。

「うがぁ!あにすんじゃい!ボケー!降ろせ~!」



「これを押すんだね」「そうみたいだな。だが、罠ってことも考えれるぞ」

ハルカと一緒に目の前にあるボタンを眺める。

「何をやってるのよ? 押しなさいよ」「でもな~…」

「もー、ここにも書いてあるでしょ『御用の方はこちらのボタンを押して下さい 雪より』って」

「押すぞ? 何があっても恨みっこ無しだからな!」

ポチ!

押してみたが何も起きなかった。

「あれ? 何も起こらないぞ?」「そうね。何だったのかしらー?」『どちら様ですか?』

「ん? あの~女神にお会いしたんですけど」『そうですか。少しお待ち下さい』「あ、はい…」

しばらくすると壁にドアが現れて、ゆっくりと開く。

「どうぞ、こちらに。あ!アユ様。お元気そうで…」「誰?」「あ、申し送れました。私はサユリです」

「ねえ、アユさんってどんな関係があるの?」「アユ様は女神の中でも、もっと優れた方なんです」

「ふーん…」

俺達は、アユの方をしらーっと見る。

「それでは、こちらに。雪様もお待ちですので」

案内されて、雪と言う女神が待つ場所に行く。

「雪様、お連れしました」「有難う御座います。ちょうどお茶の用意が出来た所でしたので」

な、なんだ? アレが女神様…なのか? なぜ、メイド服なんだ?

「皆さん、こちらに来てお座り下さい」

それぞれ席に付くと、前にお茶が置かれる。俺の隣に座ったミツキを肘で突っついて小声で言う。

『本当に、女神なのか?』『私に言われたって、知らないわよ!』

「皆さん、お初にお目にかかります。3女神の1人、雪と申します」

そう言って、ペコリと頭を下げる。

「俺は…」「はい、よく存じています。そちらの方がミツキさんですね」「え、あ、はい…」

「そして、ハルカさん。アカネさん。スミカさん。メイヤさん。そして、アユ様」

「さっきから気になってるんですけど…良いですか?」「はい、何でしょうか?」

「アユってそんなに偉いんですか?」「それはもう!私達の頂点に立たれる方ですか」

「このアユがねー」「うが!だから、ここには来たくなかったのさ!」

まあ、女神に関係があるとは思ってたけど、まさか頂点にたってる奴だとはな~。

「だったら、なんでここから出たんだ?」「ふん!お前には関係の無いことさ!」

「アユ様は、ここでの生活が嫌になって、出て行かれたのです」「雪~!何でも、ベラベラ話すなや!」

「すいません…」「まったく、もとの力があったら…」

もとの力? 何だそれ?



これでよし! 後は、これを押すだけだな。ちょっと勿体無い気もするが、仕方が無いよな。

これがある限り、ハルカ達への負担が大きくなるだけだからな。

「タカユキ!そこで何をやっている?」「ちっ!気が付かれたか」

ゆっくりと立ち上がって振り返る。

「やはり、貴様は裏切り者だったか」「裏切り者? 俺は最初から仲間になったつもり無かったぞ」

顔の前でスイッチを構える。

「ば、馬鹿!止めろ~!」「もう遅い!」

スイッチを押すと、後ろにあるクローン製造機が爆音とともに砕け散る。

「これで、コピーは作れなくなった」「き、貴様~!そんな事をして、ただで済むとは思っていまいなー」

「どうなるんだ? 教えてくれよ」「これを見ても、そんな口をきけるかな?」

タケルは、物陰から縛られたハルカ連れて来て、すっと首筋に剣をあてる。

「さ~、どうする? こいつが死ぬぞー」「くっ…」

武器をタケルの方に投げる。

「そうだ!それでいい」「ハルカを離せ!」「ああ、離してやるさ。何時でもな~」「何?」

「さ~、ハルカ。奴を殺せ!」「はい…」「く…」

第拾五章に続く


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