君ラヴクエスト -第拾三章-
「それにしても、こんな物が残ってるとはな〜」「ほんとねー。何年前からここにあったのかしら?」

ハルカの持っていた本に挟まっていた、広告の裏に書いてあった地図を見てここまでやって来た。

そして、俺達は信じられない物を目にする。そう、飛空挺である。今は操縦室に居る。

「ハルカ、動きそうか?」「うん、何とかなると思うよ。ほら、マニアルもあるし」

ハルカは何処から持って来た、マニアルを俺に見せる。操縦席と本を見比べている。

「あ、そこのレバー上げてもらえるかな〜?」「これか?」

言われたレバーを上げる。

「次は、三つ目のレバー…」「これね」

ハルカの指示に従って、レバー等を操作する。

「最後は、そこのドクロの付いたボタンを押したら…」「これだね」

ポチ!

「自爆モードが作動します…え〜!」「な、何だと〜!」「もう押しちゃったよ!」「ハルカ!解除方法!」

「ちょっと待って…え〜と、え〜と…」『起爆モードがセットされました。至急!非難して下さい!』

「あ、あったよ」「このレバーを上げれば…」

バキ!

「あ…!」「ちょっと〜ハルカ〜!何やってるのよー!」「ふえーん、ごめんなさい…」

「あ〜、私の人生もここまでだったんですね〜」「ハルカ!他に何か無いの?」

『く〜…爆破30秒前だぉ…!30秒前だぉ…!』「なー、このボタンじゃないのか?」

目の前にある、リセットと書かれたボタンを押す。

『起爆モードは解除されただぉ…』「ちょっとーハルカ!さっきのは何だったの?」「お姉ちゃんですから…」

「良いじゃないか、命も助かったんだし。で、起動はどうするんだ?」

ハルカは震える手で、さっき折れたレバーを指差す。


「どうする? そなたも馬鹿ではあるまい、3人を1人で相手を出来ないことくらい判るはず」

「…降参です。煮るなり、焼くなり好きにして下さい」「アカネって焼かれるの?」

「これは物の例えですから…」「ア〜カ〜ネ〜さ〜ん!」

遠くから、誰かが走って来る。

「あ、ゴウダ君だ」「アカネの彼氏だね」「私に…」

アカネは体をひねる。

「ア〜…カ〜…ネ〜…さ〜…ん〜…!」「近づかないで!」

ひねった体を戻すとの反動を利用して、ゴウダを殴り飛ばす。

「キャフーン……キラン☆」「わ〜、特大ホームランだね」「は〜…は〜…、今回は見逃して上げます!

アカネはそういって消え去る。

「うが!何処に行ったー!出て来い、ボケ〜!」

アユは叫びながら走り回る。

「2人とも、私に捕まって」「こうですか?」「うん。皆の所へ!」「あ、待てや!コラー!」

ハルカは目を瞑って意識を集中し始める。次第に体が光りその場から消える。


「これでなんとか動くだろ!」

何とか修理をして、動かせるようにはなった。

「まったく、お姉ちゃんのおかげで…」「…ごめん」

ハルカはしゅんと小さくなる。

「とりあえず、スイッチON!」

だが何も反応が無かった。

「ちょっと、動かないわよ?」「おかしいな〜?」「やっぱり、さっきのが…」

ハルカはさらに小さくなる。マユが走って来て見事に転んで、機械に頭をぶつける。

「ぐぉ……」

その衝撃が良かったのか、機械が動き出す。

「マユさん。お手柄ですよ」「ほぇ…?」「とりあえず、これで出航できるわね」「そうですね」

「でマユ。何しに来たんだ?」「そうでした!アユさんが何処にも居ないんです!」『え…? あ〜!』


「ここって…何処ですか?」「絶対にここは違いますね」「こら〜待て〜!」「うぐぅ〜…」

「もう一回、やってみるね」「それは良いのだが、あの金色の髪の娘が見当たらんのだが…」「え!」


「うがあああぁぁぁ…!この私を置いていくとは、いい度胸ねー。今度あったら、どうなるか覚えてらっしゃい」

この時、アユは知るよしも無かった。置いていかれて正解だったことを…。


「あ、誰か来るよ」

ハルカがそう言うと、目の前にもう1人のハルカ達が現れる。

「お帰り、ハルカ」「お帰り、お姉ちゃん。今度は何処に行って来たの?」「一回で来たんだよ」

「はいはい…そうってことにしといてあげるね」「う〜…」

ドアが凄い勢いで開く。

「お前らー!この私を置いて行くなんて、覚悟は出来てるんでしょうね〜」「どうしたんだ?」

「こいつら、私を置いてさっさと帰ったのさ!」「で、お前はどうやってここに来たんだ?」

「歩いてに決まっとるだろうが!ボケ〜!これだから単細胞は…ヤレヤレだわ〜」

「俺が聞きたいのは、どうやってここの場所を知ったのかってことだ」

「凡人には一生かかっても判らないでしょうね」

ふにゅ

「あいだだだだ…」「とりあえず、皆揃ったな。よし、発進!!」「御衣!」

ゲートが開き、ゆっくりと飛行船は動き出す。


あゆはカッと目を開ける。

「よくも、この私をこけにしてくれたわね〜。このケリは絶対につけてやるさ」

銃を拾い上げ、不適に笑う。

「それまで、人生を楽しんでおくことね〜。ふふふ…」

アユの背中に漆黒の翼が現れ、そのまま飛んでどこかに行ってしまう。


「ほ〜、1人でおめおめと逃げ返って来たのか?」「申し訳ありません。もう少しの所を…」

「そうか…」「はい、次こそは奴の息根を…え…」

タケルは、アカネに剣を突き刺す。

「お前に次は無い!」「タケル…様」「お前の代わりなど、腐るほど居るんだよ!」「そ、そんな…」

「安心しろ、お前の生体エネルギーは、この剣の力となるのだ、光栄に思え」

アカネは最後に一撃をタケルにくらわせようとし、そのまま力尽きる。

「ふ、馬鹿な奴だ」

まったく、そこまでやらなくても良いだろうに…。さて、そろそろ頃合だな。

もう時期、ハルカ達も女神に会うだう。さて、俺は最後の仕事を済ませるか

第拾四章に続く


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