君ラヴクエスト -第拾一章-
「タケルちゃん!今度あったら、絶対に逃がさないんだから!」「カガミ、落ち着け」

「それで、その忍者って?」「俺にも何だかさっぱりなんだ。突然出てきて、タケルを連れて行ったんだ」

「そうなんだ〜。だとすると…奴等の仲間なのかしら?」「そう考えるのが、妥当ですね」

皆、深刻な顔をする。

「はい、終わったよ」「有難うな。ハルカ」「ううん、これくらいたいした事じゃないよ」

ハルカはそう言って、ニッコリと笑う。

「そういえば、カガミと一緒に居た…メイヤだっけ? あの子はどうしたんだ?」

「メイヤなら、別行動を取ってます」「そうなの?」「はい。自分はまだ未熟者だから、修行をしてくるって」

「メイヤらしいわね」「そうですね」「ねー、カガミさん」「はい。何ですか?」「これからどうするの?」

「これからですか? もちろん!タケルちゃんを探し出して、今度こそ!」

目がマジだ。今度は殺すかもな…。あ、でもまたあの忍者が助けに来るか〜。なら心配ないか〜。

となかば無責任なことを考える。

「だったら、一緒に行かない? そうすれば、いずれあっちから現れるわよ!」

「そうですね。狙いは私達みたいですからね」「私は、反対さ。何処の馬の骨ともわからん奴を…」

ふにゅ…。

「あいだだだだ…」「こいつの事は気にしなくていいから。宜しくな」「はい、宜しくお願いします」

「ねー、チズルも一緒に行かない?」「え、私も? 私はパス」「どうして?」

「アカネ。チズルさんには、チズルさんの事情があるんだよ」「でも…」「誘ってくれて、有難うね…」

「そうだな、チズルはこの村の委員長だもんな!」

言い終わると同時に、顔の横を一本の矢が通り過ぎる。

「今度、それを言ったら…あなたを殺します!」

あの目は…本気だ。

「ところで、マユは?」「仕入れに行ってます」「帰ってきたら、出発よ」



「チズル、元気でね」「アカネも、死ぬんじゃないわよ!」「こいつが簡単に死ぬ…ガハ!」

アカネの肘打ちが腹にきまる。

「あ、そうだ。これもって行って。きっと何かのやくにたつと思いから」「有難う。それじゃあね」

「バイバイ」

船はゆっくりと、陸地から離れる。アカネは陸地が見えなくなるまで、ずっと手を振っていた。

「どうだった?」「え、何がですか?」「本当は、もう少しあそこに…」

「そんなこと無いです。今の私は、こうして旅をしてる方が楽しいですから」

そういうアカネの目に薄っすらと、涙が溜まっていた。アカネの頭にポンと手を置く。

やせ我慢しやがって、可愛い奴だな。

「さ、中に入るか」「そうですね」「ア〜カ〜ネ〜さ〜ん〜」

慌てて声がしたを見る。そこには、ゴウダジョウジを乗せた船がこっちに向かって来ていた。

「あいつ、生きてたのか〜」「やっぱり、アレしかないですね!」

アレ? アレっていった何だ?

アカネは大きく飛び上がり、頭の方に両手を持って行き、ジョウジの乗った船に狙いを定める。

「触覚!ビーム!」

そう大声で叫ぶと同時に、物凄いビームがジョウジの乗った船目掛けて飛んで行く。

「か、頭!何か飛んできます!」「え!?」

ビームは一寸の狂いも無く、ジョウジの乗ったを捕らえる。

今度こそ、死んだな。もし、アレで生きてたら、化け物だぞ〜。

降りてきたアカネは、満足そうな顔をしていた。

「もう二度と、会う事は無いでしょうね」「そうだな」

2人で、沈んでいく船を眺ながら手を合わせる。

「迷わず、成仏しろよ!」「もう二度と、私の前に現れないでね」

「船長!次の目的地は、何処ですか?」「次は、モンブランですよ」「船長!チョンブランの間違えでは?」

「違うだろう、カンブランだろ?」「いや…」

大丈夫なのか? この船は…物凄く心配なんだが。

中から出てきた、カガミがフェルデンを指差しながら言う。

「あの〜、次の目的地はフェルデンじゃないんですか?」「そう!それですよ、船長!」

おいおい…『ン』しかあってないぞ。

「そうでした、かたじけない。でわ、フェルデンに向かって下さい!」「了解!」

「メイヤと別行動を取ってるんだよな〜?」「はい、タマセを探しながら、修行をしています」

「タマセ?」「はい、彼女はとても役にたつと思うんです」「どんな人なんだ?」

「人間なんだけど、猫みたいな所もあるちょっと変わった人です」

カガミは苦笑いを浮かべる。

「よく判らんが、カガミがそう言うんだったら、間違いないだろうな。でも、猫だろ」「はい…」

「まさか、タケルのペットとかになってたりしてな…」

冗談で行ってみる。

「その子なら、見たことあるよ」「うわ〜!ハルカ。何時からそこに?」「ついさっきだよ」

「見たことあるって本当? お姉ちゃん」「うん!私がまだあそこに居る頃にね」

「あそこって言うと、タケル達が居る場所か?」「うん、そうだよ。そこでタケル君のペットなってたよ」

「マジで…」「うん!間違いないよ。この目で確りと見たから!」

ハルカは自分の目を指差し、自身満々で言う。

マジかよ、冗談で言ったのによ〜。

「だったら、メイヤに連絡した方が良いんじゃないですか?」「そうですね。でも、どうやってです?」

連絡方法などあるはずも無い、ここは海の上なのだから。

「瓶に手紙を入れて、流したらどうかなー?」「そうか〜、その手があったか〜って何の意味も無いだろ!」

「どうします?」「それなら、任せて下さい。古来より、連絡はこの鳩を使うんです」

マユがバンと鳩を自慢げに見せる。

「鳩?」「はい、この子の足に付けて飛ばすんです」「っで、どうやってメイヤを見分けるんだ?」

「何か、目印を…」「だから、その目印って?」「はう!無いです…」「それじゃ〜、駄目だろ」

「もしかしたら、次の島に居たりして…」

アカネがポツリと呟いたこと、皆が反応する。そして、まさか〜と笑い出す

第拾二章に続く


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