記憶喪失!?
気持ちよく眠っていると、凄い音でドアを叩く音で起こされる。水月を起こさないように、はいだして玄関に行く。

「はーい…、誰ですかー?」

ドアを開けると、すごく慌てている涼宮が立っていた。とりあえず中に入れる。

「で、いったい何があったんだ?」「遙がそこまで慌てるってことは、ただ事じゃないわね」

「あのね…孝之君が…」「孝之がどうかしたのか?」「私達のこと知らないって…」

水月と顔を見合わす。改めて涼宮の方を見ると真剣な面持ちなので、嘘ではないらしい。

「説明してくれないか?」「そうね。来ていきなり、知らないって言われてもね…」

涼宮は小さく頷いて、説明を始める。その説明によると、孝之は記憶喪失になっているらしい。

「記憶喪失って、何か大きな衝撃なんかでなるんだよなー。何か思い当たるふしは無いのか?」

涼宮は黙って首を横に振る。当然だが、俺も思い当たるふしは無い。

「もしかしたら、あの時かなー?」「どうしたんだ? 水月。何か思い当たることでもあるのか?」

水月は驚いた様子で、何でも無いと答える。

「あるんだったら、言え!」「判ったわよ。昨日ね…」

「なほどな。会社帰りに孝之に会って、その後二人で飲み行ったあと、お決まりのように吹っ飛ばしたわけだな」

「ちょっと!お決まりって何よ!お決まりって!そんな言い方したら、何時も私がそんなことしてるみたいじゃない!」

「してるんじゃんか…」「何か…言った!」「いえ、何も…」

水月の鋭い視線に竦み上がる。

「ところで、孝之はどこに行ったの?」「バイトに行きましたよ」「そう…て何で茜がここに居るの?」

「何度も呼んだんですよ」「だからって勝手に入ってくるか? 普通…」

「孝之は、バイトに行ったのか?」「はい!」

だとすると、記憶はあるんじゃないか? でも、涼宮のことは知らない。持っておかしな話だなー。

「とりあえず、孝之のバイト先に行ってみるかー」「そうね。茜、遙のことよろしくね」

水月と一緒に、すかいてんぷるへと向かう。すかいてんぷるの中をそっと覗く。

「何も変わった様子は無いなー」「そうね。孝之はどこかしら?」

孝之を探していると、後ろから肩を突っつかれるが、それを払いのけて後で再度、孝之を探す。

今度は肩を叩かれるが、それも払いのけてる。すると『うがああああぁぁぁぁ…』と聞えた後、後頭を棒のようなもので殴られる。

「何すんじゃー!ボケ〜!」「誰がボケじゃわれ〜!」「お前だよ!お・ま・え!」「あんですと〜!うがああああぁぁぁぁぁ…!」

しばらくの間、大空寺と睨み合った。


「あのー…何をなさってるんだすか?」「あー、あれね。気にしなくていいのよ」

そう言って玉野さんと一緒に中に入る。

「ねー、孝之はどこ?」「孝之さんでしたら、裏に居ますよ」「呼んできてもらえる?」「御衣!」

玉野そう言って、奥へと消えて行く。

「困ったものです」「わっ!店長さん、どうしたんだすか?」

この人って、本当に何者なの? まったく気配を感じなかったわよ。

「あれです。大空寺さんが騒がしいのは、何時ものことなのですが、あそこでやられるのは…」

確かにそうね、あそこで騒いでるのはまずいかもね。

二人の所に行き、お互いの頭を叩いて気絶さて、中に運び込む。

「呼んできましたよ」「ありがとう」「よ〜、水月じゃないか。どうしたんだ?」「え!」

驚いた顔で孝之を見ていると、不思議そうな顔でこっちを見てくる。


「そのことかー。なー、水月」「何よー?」「今日って何月何日だ?」「今日…あ!」

孝之は黙って頷く。そう今日は、4月1日だったのだ。

「それにしても、これはやりすぎよ」「俺もそう思ってるんだ。だから帰ったら、きちんと誤るよ」

「絶対にそうした方がいいわよ」「あいたたた…」

「よく寝てたなー」「これ以上、バイトの邪魔したら悪いから私たち帰るね」

家に帰り、涼宮に訳を説明し終わると同時に孝之がやってきた。

すると、涼宮は机を力一杯叩きながら立ち上がる。水月とソフトボールを、茜ちゃんはスポーツバックを差し出す。

涼宮はそれを受け取る。まず最初に、ソフトボールを孝之目掛けて投げた後、間髪いれずにスポーツバックを投げる。

両方とも孝之の顔面にHITして、その場に倒れこむ。涼宮は、そのまま部屋へと消えて行く。

「あのー…そこは、俺たちの寝室なんですけど…」

茜ちゃんが俺の肩にて置きながら

「お姉ちゃんがあーなったら、しばらくは出てきませんよ」「じゃー、俺たちはどこで寝ればいいんだよ!」

「水月先輩、家に来ませんか?」「そうね、寝室は遙に占領されたみたいだしね」

「あのー…、俺は?」「え、何言ってるんですかー。お姉ちゃんを一人にするつもりですか?」

「それは、さすがにまずいだろうな…」「じゃー、よろしくお願いします!」

水月と茜ちゃんは孝之を連れて、家から出って行った。

涼宮が部屋から出て来たのは、それから1週間後だった

ーENDー



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