君のぞRPG〜第九章〜
「ここで少し休みましょう」「そうですね」

ちょうどいい横穴を見つけて、皆でそこに入る。

「それにしても、ひどい吹雪ですね」「そうね…みんな、居るわよね〜?」

一人ずつ確認していき、彼が居ない事に気がつく。

え、何かの間違いよね…。

再度確認するが、やはり何処にも居ない。

そ、そんな…。

その場にへたれこむ。

「どうしたんですか?」「居ないの…」「誰がですか?」「彼が…」「彼って…まさか!?」

黙ったままゆっくりと頷く。

「私…探してくる…」「待つさ! 今行ったら、あんたまでそうなするさ!」「離して! 彼は…彼は…」

アユは私の頬をひっぱたく。

「あんたの気持ちは判るさ。でも…今行っても、遭難者を増やすだけなのさ…今は待つしかないのさ…」

その場に座り込む。


「まったく…これだから」「ちょっと、今の言い方はあんまりじゃないですか?」「あん?」

「もっと…人の気持ちを考えて…」

アユはキッとアカネを睨みつける。

「だったら、あいつを行かせやれば良かったっていうんかい! え〜!」

「私は…別にそんなつもりじゃあ…」「じゃあどんなつもりなのさ!」

「もう止めて下さい…こんな所で喧嘩なんて…止めて下さい…」

ユキは目に涙をためながら言う。

「ふん!」「すいません…つい頭に…」「判ってもらえれば、それでいいんです」


ボーと外を眺めていると、徐々に吹雪が収まりだした。

え、吹雪が収まり…始めて…る?

それを見て一人で飛び出して行く。

「あ、ミツキさん!」「追うわよ、マユマユ!」「御衣!」「私達も…」「そうですね!」

何処? 何処に居るの? 何処よ?

立ち止まり、ゆっくりと辺りを見渡すが、見つからない。

もう…何処に居るのよー!

あてもなくまた走りだす。しばらく走った後、その場にへたれこむ。

もう…無理…なの? もう…二度と合えないの? 私は…そんなの絶対にいや…。

「イヤー!」

空に向かって大声で叫ぶ。


「ほらほら…どうした? 防戦一方では勝てんぞ!」「く…ぐ…」

攻撃をかろうじて受け止めながら、少しずつ後ろ下がる。壁に突き当たってしまう。

「くそー!」「剣が邪魔だな! 攻撃も出来ない物を持っていても仕方があるまい!」

剣を弾き飛ばされ、黒騎士の後ろに突き刺さる。

剣が…どうする、もう俺は武器を持って無い…くそー! このままやられるのか。

「さらばだ!」「ちくしょー!」「死ねー!」

第拾章に続く


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