君のぞRPG〜第三章〜 |
「ここから西に行った所に、乗船所があるわ。そこから、ベレッカへの定期船が出てるはずよ」 「このままだと、夜になってしまいすよ」「だったら、この一番近い街のガベンに行こうぜ」 「そうね。じゃあ、行きましょうか?」「おう!」「はい…」 「ここがそうなのか?」「すごく賑やかなところですね…」「とりあえず、宿を探しましょ」 ドドドドド… ん? 何だ…この音は? 「いたぞー!捕まえろ〜!」「な、何だ!?」 何が起きたか理解も出来ずにつかまる。 「貴様らを連行する!」「私達が何をしたって言うのよ!」「よし!連れて行け!」 「連れて参りました」「ご苦労でした。さがってよろしい」「は!」 何だよ…ここは? 兵隊は女だし。男なんて一人も居ないぞ…。そういえば、街にも居なかったな…。 「よし、彼女達はあそこへ連れて行け!そいつは、地下牢に入れておけ!」「は!来い!」 いきなり連れて来られたと思ったら、次は地下牢かよ。どうなってんだ…いったい。 「そこでおとなしくしていろ!」「ヘイヘイ…。ちょっと聞きたんだけど。良いか?」「何だ?」 「何で俺はここに入れられたんだ?」「それは、お前が男だからだ!」 何で男だからって閉じ込めるんだ? 「安心しろ、明日には出られる。それまでおとなしくしていろ!」 それですぐに出すのかよ。いったい何がどうなってるんだ? 「今から何があるんだ?」「おぬし、本当に何も知らんのか?」「知ってたら聞かないって…」 「うむ。それもそうだな。本日、王子の婚約者を選抜するのだ!」「婚約者…?」 へー、そうなのか…なんだそうだったのか。ん? 待てよ…だとすると。 「なあ…俺の連れはどうなったんだ?」「案ずるでない。彼女達は王子の花嫁候補として丁重に扱っている」 「候補…?」「そうだ。王子がお選びになった者だけがここに招かれるのだ」 あれを招いたって言わねえだろう…普通。 「ちょっと、私達をこんな所に連れて来て何をしようって言うの?」 「ご安心下さい。貴方達は選ばれたのです」「選ばれた…?」 何の事を言ってるの? 「そうです。王子の花嫁候補として」「花嫁候補ですって!」「はい!」 兵士は指をパチンと鳴らすと、ドアが開きドレスが運ばれてくる。 「どれでもお好きな物をお選び下さい」「ふざけないで! 私達は先を急いでいるのよ!」 「そうです。ですから…」「どうやら、自分では選べないようですね〜」 兵士がパンパンと手を叩くと、数名のメイドが部屋に入って来る。 「キャ!ちょっと…何を…あ、そこは…」「あ、そこは駄目です…あ、そんな…」 そして、私達の着ている物を無理やり脱がして着替えさせる。 「良くお似合いですよ。さ、こちらに…」 一つのドアが開く。 ここまでされて引き下がますか! 良いわよ。その王子の顔を見てやろうじゃない! 「ここは、おとなしくしているほうがいいようですね…」「そうみたいね」 武器も無いしね。 「何をなさっているのですか?」「今行きますわ。ユキさん行きましょ」 顔をヒクヒクさせながら言う。 「は、はい…」 しかし、暇だ…。 牢獄中にあるものは、ベットと便器だけ。あとは何も無い…。 コツコツ… 『交代だ!』『もうそのような時間か…』 もう夜か? 窓も無いから時間がさっぱりわからん。 しばらくして、交代した兵が俺のところにやって来る。 「牢獄くらしはどうですか?」「いいわけないだろ」「そうですか。出してあげましょうか?」 「本当か!?」「はい!」 鍵の束を見せる。 「まだ気が付かないんですか?」「え…?」「私ですよ…わ・た・し!」「まさか…」「はい!」 |
ー第四章に続くー |