君のぞRPG〜第弐拾六章〜 |
「ところで…遙は?」「あ!お姉ちゃん!」 皆で探すと、二人仲良く並んで寝ていた 「遙…。起きて〜」 水月はそう言いながら二人揺する。先に、遙の方が目を開ける 「あれ…?ここは何処なの?」「ここは、学校だぞ!」「え!?学校?」「そう!学校!」 遙は首を傾げる 「何で、皆がここに居るの?それに、知らない人達もまで…」「遙…後でゆっくりと説明するから」 「あ!私が寝てる!」 遙は、横に寝ている自分を見て驚く。しばらく、眺めて俺の方を見る 「ねぇ…」「ん?どうした?」「これって、人形?」 ズル! 「どう見ても、人だろうが!ボケが!」「キャー!」 遙はそう言って、小さくなる 「コラ!あゆ。怖がらしてどうするんだ?」「はん!そんなこと知らないわよ!」「あのなぁ…」 そうこうしている間に、ハルカが目を開けて起き上がる。そして、二人は顔を見合わせる そして、どちらからともなく、顔を触り始める。 ズル! 「わー!本物だー」「生きてるんだね!」「とにかく!無事で何よりだな!」「そうですね」 「全てが終ったのですから、皆さんとはお別れですね…」 雪がそう言うと、一斉に暗い顔をする。当然の事ながら、二人の遙は何の事か判ってない。 「大丈夫ですよ!きっと、また会えますよ!」「そうです!生きていれば、いずれわ…」 「そうですね。いずれは、また…」「そうね!会えるわよね!」 会える…か…。俺はどうかな…? 「どうしたの?暗い顔をして?」「え!?あー、別に…あは、あははは…」 愛想笑いをする 「遙。帰りましょ?」「お姉ちゃん。帰ろう」「うん!」「そうだね」「帰って、ゆっくり寝るさ!」 「早く帰らないと、水戸黄門が!」「雪は帰たら、溜まっているお洗濯をしないと…」 水月達はそう言いながら、出口に向かう。俺は一人、それを見送る水月が、俺の居ないことに気がついて、振り返る 「どうしたの?帰りましょ?」「悪い…俺は帰れない…」「え!?」 そう、俺は一緒には帰れないんだ 「な、何を言ってるのよ?」「もしかして…」 雪は驚いた顔をする。それを見て、黙って頷く 「え!?何?どうなってるの?教えて!」 水月は雪の両肩を掴んで揺らす 「たぶん…禁断の技を使ったんです…」「禁断の…ですか?」「はい…」「何よ!禁断って…」 雪はゆっくりと目を瞑る。そして、ゆっくりと開ける 「その技は、一瞬にして強大な力を得る事が出来ます。ですが…暴走させれば、この世が壊滅する…」 「壊滅…そんな馬鹿な話が…」 あゆは口ではそう言っているが、内心はかなり怯えている 「もし、制御できても…代償として、別次元もしくは別の時に飛ばされるんです」 「ねぇ!止めることは…出来ないの!」 水月は必死に言うが、雪はゆっくりと首を横に振る 「そん…なぁ…」 水月はその場に座り込む 「これじゃぁ…倒しせたって、意味がないじゃない…」「水月…先輩…」「水月…」 「仕方がなかったんだ。こうするしか…俺一人が犠牲になれば…」 水月は立ち上がり、俺の所に走って来て、頬を引っぱたく 「何かっこつけてるのよ!一人が犠牲にですって!ふざけないで!」「水月…」 叩かれた、頬を摩りながら水月を見る。 「馬鹿よ!大馬鹿よ!そうやって…自分で勝手に決めて…残された、私はどうなるのよ!」 水月は小刻みに震える。その目からは涙が零れ落ちる。水月の肩に手を伸ばすが、その手をグッと握り閉める 「ねぇ…最後に、一つ聞かせて?」 水月はそう言って、じっと俺の目を見る。 「私の事…どう思ってるの?」「え!?」「正直に答えて!」 水月は真剣な顔で言う。目を閉じて、ゆっくりと開ける 「俺は…」 そういいかけた瞬間、足の方から消え始める 「え!?嘘…いやー!」 完全に消える前に、口を動かす。剣だけだが、むなしく突き刺さる 「水月…先輩…」「今は、そっとしといてやるのが一番さ」 水月は、その剣を抜いて小さく呟く 「馬鹿…」 そして剣を強く抱きしめる |
ーエピローグに続くー |