君のぞRPG〜第弐拾一章〜
「うわー! 綺麗…」

水月は目を輝かせる

「言っとくが、これはただのクリスタルじゃないぞ!」「え!? そうなの?」

そっとクリスタルに触る

「これは、人間の魂を具現化したものだ。その証拠に、中に人が入ってるだろ?」「あ! 本当だ!」

「もし、これが壊れればその人は死ぬ!」「誰が…こんな惨い事を…」「あいつだ! 奴がこっちに来てる!」


「ふふふ…どうやら、あそこに入ったみたいですね。でも、ここには来れないでしょうね」

そう言って不適に笑う

「しかし、油断は禁物ですね。儀式の準備を始めましょう。二つの世界のハルカさんと遙さん…」

二つ並んだクリスタルを見ながら笑う


「ねぇ…これって…」

水月が指差した先には、茜ちゃんが居た

「他にも居るかも知れない! 探すぞ!」「うん!」

二手に判れて捜索を始める

ん? これは…アユのか。

「よっこいせ!」

何処からともなく、ハンマーを取り出す。

「いくぜー!」

バコ!

「あいたー!」「何をやってるのよ?」「嫌な…体が、これを破壊しろって…」「どれ…?」

アユの入ったクリスタルを指差す

「なんだか、無性にそんな気分になって来たわ!」「だろ?」

水月と顔を見合わせて頷く

『せーの!』

二人同時にハンマーで砕こうとした時に、クリスタルが輝き出す

「うわー!」「キャー!」「あにやってるのさ?」

光が収まるとアユが立っていた

「あ! 水月先輩!」「え? 茜?」「はい! 私です」

茜ちゃんはニコニコと笑いながら言う

「ぐぉ……」

まさか…これって

「ふらふらでふ…」「まゆまゆも戻ったみたいね」

水月と二人で訳が判らず、ポカーンとする。

「二人して、どうしたんですか?」「どうなってるのか、説明してくれ…」「はん! 説明なんて不要さ!」

あゆは俺からユキ人形を奪い取って、ユキのクリスタルに投げつける

「あ、馬鹿! そんな事をしたら…え!?」

人形はスーと中に吸い込まれる

「あのですね…」

その後、茜ちゃんから事情を説明される

「なるほどな…」「私達と同じことをしたのね」「そうなります」「もうじき出てくるさ!」

ユキのクリスタルが輝き始め、中から雪が出て来て、あたりを見渡す

「あの…ここは何処ですか?」「えっとだな…」

雪に今置かれている状況を説明する

「そんなことが…」「まあ、信じられないかも知れないがな…」「いえ! 雪は信じます!」

雪はグッと手を握りながら言う

「これからどうするのさ?」「奴を探す! ただ、それだけだ!」「そうね」「でも、何処に居るか…」

「大丈夫よ茜。大方の検討はついてるから」「そうなのか?」

スパン!

「ここに居ないとなると、残る場所は一つよ」「何処ですか?」「屋上よ!」『屋上…』

しばらく沈黙の後、顔を見合わせて頷く

「いくぞー!」『オー!』

第弐拾二章に続く


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