君のぞRPG〜第二章〜 |
「誰も居ませんかー?」 そう叫んでみるが、誰も答える気配は無い。 「誰も居ないみたいね…」「そうだな。こんな所に手がかりなんかあるのか?」 「それを今から探すんでしょ! じゃ、私はこっちを探すわ」 ミツキはそう言って奥へと消えて行く。 それにしても、酷いもんだな〜。ここって本当に教会だったのか…? ぽっかりと穴の開いた天井を見上げる。 まあ、考えてても始まらないか。 ミツキと反対側へと歩きだす。しばらく歩いていると、開けた場所に出る。 でっかい十字架だな〜。あれからすると、ここは祭壇か? 大きな十字架の側まで歩いて行き、それを見上げる。 側で見るとさらに大きいな〜。ん? 何だこれ? 側に置いてある石の像に気がつき、近くに行って眺めていると、ミツキがやって来る。 「何してるの?」「これ、何だと思う?」 石像を指差しす。 「よく出来た石像ね〜。何でこれだけ、こんな綺麗な形で残ってるのかしら?」 「そうだよな…。この十字架だって、半分になってるのにこれは何処も壊れて無い」 「仕方が無い、ここを少し調べてみるか」「そうね」 ミツキと一緒に調べ始める。 「ねえ、こんなのがあったわよ」「ん?」 ミツキのところに駆け寄る。 「誰かの日記みたいよ」「日記か〜。それにしても随分とボロボロだな〜」「中を読んでみましょう」 「そうだな」 ボロボロの日記帳を破らないように広げる。 『19△×年 □月○日 今日も魔物が責めてきた。今日までは凌いでいたのだが、もはや無理だと 確信する。せめて…我が娘だけでも、救ってやりたい。私は、娘を石にすることに決めた。 そうすれば、娘だけは生き延びることが可能なはずだ。もし、これを読んでいる人が居るなら…娘を頼む。 かってなお願いだと判っている。もはや、私にはどうすることも出来ない…。平和な時代の人が、これを読んで くれている事を祈る…』 「娘って…もしかして…」「まさかね…」 ミツキと顔を見合わせ、ゆっくりとさっきの石像の方を見る。 「他に…それらしい物は無かったわよねー?」「無かったと思うぞ…」 二人でさっきの石像の所に行く。 「さて、これが本物だとすると、どうやって戻すんだ?」「えっと…石化を戻すには…」 ミツキは道具袋をごそごそする。 「たしかこれよ!」 ミツキはKと書かれた小さなビンを取り出す。 「何だそれ?」「これ? これは先生に貰った薬よ」「え、そんなのくれたのか?」「そうよ!」 「何だよそれ!俺には何一つくれなかったぞ!」「細かい事は気にしないの。さ、かけるわよ」 ミツキはビンを開けて中身を振り掛ける。すると、石像が眩しい光を放つ。光が消えて人に戻る。 「とりあえず成功だな…」「そうね…」 もとに戻った人は、何がどうなったのかわからず、ただ俺達の事を見た後で、辺りをゆっくりと見渡す。 「え、え、何なんですか? これは…いったい何が…」 その人はショックのあまりその場に立ち尽くす。しばらくして、ゆっくりと俺達の方を向く。 「皆は? お父様は? 何処かに居るんでしょ? 隠さないで教えて下さい…」 その子は俺に迫ってくる。 「あなたは長い眠りについてたの。それは、あなたのお父さんの意思でね」「え、お父様の…?」 ミツキは黙って頷き、さっき見つけた日記を差しだす。 「あ、これは…」 その子は日記を受け取って読み始める。日記帳を持ったまま部屋から出て行く。その後を追いかける。 そして、一つの部屋の前で立ち止まる。その部屋のドアには、日記帳の筆者の名前が彫ってある。 その子は無言のまま部屋のドアを押と、ドアは音を立てて倒れる。 ドアの向こうには何も無く、ただの荒地が広がっている。それを見て、その場に座り込む。 「今は、あなたが生きていた時代じゃないのよ…」「そのようですね…」 その子はミツキに抱きついて泣く。ミツキはそっとその子を優しく抱きしめる。 「御迷惑お掛けしました」 その子は深々と頭を下げる。 「仕方が無いわよ。私だって、目が覚めて周りに誰も居なくて、知らない時代だったら悲しいもの…」 「だから、あんまり気にするなって」「はい…自己紹介をしてませんでしたね。私はユキといいます」 「これからどうするんだ?」「良かったら私達と一緒に行かない?」 「ですが…ユキが一緒では、御二人に御迷惑が…」「気にするなって。第一、元に戻した責任もあるしな」 「そうね。一緒に行きましょ」 ユキは少し考えて笑顔で頷く。 「ユキは少し準備をして来ます」 そう言って奥へ消えて行く。少しして戻ってくる。 「よし、行くか」「うん!」「はい!」 |
ー第三章に続くー |