君のぞRPG〜第拾九章〜 |
「ところで…さっき、大変だって言ってなかったか?」「え…?」 水月は取っ組み合いの最中に手を止める。 「そうなのよ! 学校に怪物が出たのよ!」「嘘こけ!」 バコ! 「何するのよ!」「まだやる!」 水月とミツキは睨みあう。 「シャー!」「フー!」「だー! 話が進まん! 怪物って、どんなのだよ?」 水月は我に返り、真剣な顔になる 「それがね、スライムからゴーレムまで居るんだって…」 ミツキと顔を見合わせる。 「それって…私達が戦って来た魔物達じゃない!」「まあ、スライム系はザコだったがな」 水月は話が判らず、ムッとする。 「それでね、学校が大変な事になってるのよ。それに…遙が行方不明なの!」「え!?」 「それって…本当なの?」「もちろん! 本当よ。茜から聞いたんだかの、ずっと帰って来ないって…」 「何時頃からの話なんだ?」「お昼くらいからだって、言ってたわよ」 ミツキと顔を見合わせて頷いて立ち上がる。 「え? 何処に行くの?」「学校に決まってるだろ!」「え!? 何でそんな危険な場所に…」 「行かないといけないのよ。私達は…」 水月は、ミツキの真剣な顔を見て、やれやれといった顔をする。 「決めたのね…」「ああ…」「じゃあ、止めないわ」「有難う…」 「でも、その前にその格好で行くのは止めて〜! お願いだから…」 水月はミツキに泣きつく。 「これって、動きやすいわね!」 ミツキは、水月が持ってきた服に気がえて、体を動かして動きやすさを確かめる。 「でしょ? 選ぶの大変だったんだか…」「有難うね! でも、返せないかも…」 「ううん、そんな事は気にしないで。存分に戦ってきてね」 水月とミツキはがっちりと握手をする。 「ちぇ…メイド服の方が、可愛かったのに…」『まだ言うか〜!』 ドコン! 「キャフーン!」 「ふふふ…。やはり、こっちの世界にも居ましたね。聖女ハルカ」 クリスタルの中にいる遙を眺めながら不適に笑う。 「これで、私は完全に復活ができる。あの頃の力がまた、私の物になるんですね」 そして、不適に笑いだす 「ねぇ…」「ん? どうした?」「彼女…置いて来たけど、大丈夫かしら?」 「あー、水月のことか。大丈夫だって、殺しても死なないから!」 ガン! ミツキは転がる、ソフトボールを拾い上げる。 「誰が…殺しても、死なないよ! 私はゾンビじゃないわよ!」 「何で来たの? 死ぬわよ!」「やっぱり…こんな彼でも、心配だから…」 水月は照れくさそうに言う。 「好きなんのね。彼のこと」「え!? そ、そんなじゃないわよ!」 水月は顔を真っ赤にして、否定する。 「隠しても無駄よ。私には、判るから…私も好きだから…。彼のこと…」 ミツキはそう言って、伸びている俺の方を見る 「彼の事、宜しくね。殺したりしたら…」「判ってる…」 水月とミツキは握手をすると、お互いに輝きはじめる。 「え!? 何これ?」「ちょっと…いったい何が?」 二人は光の柱になって、空高く飛び上がる。そして、光は一つになって降りてくる。 「ん…? 何だ?」 光が消えて、水月が姿を表す。 「え? 何がどうなったの?」 水月は訳が判らず、キョロキョロする。俺は、何が起こったのか、サッパリ判らずにポカーンとする。 「私達、一つになったの?」『そうみたいね。力がわいてくるわ!』「確かに、そうね!」 水月は軽く体を動かす。 「うん! いい感じね!」『これならいけるわ! きっと』「あの…何が、どうなったのでしょうか?」 「私達、一つになったのよ! あなたみたいね」「そうなのか」「さ、学校に行きましょう!」 |
ー第弐拾章に続くー |