君のぞRPG〜第拾七章〜 |
辺りをゆっくりと見渡す。そこには、アユ、マユ、アカネの死体が無造作にある。 「良くここまで頑張りました。これは、名誉な事ですよ」 マナマナはそう言って笑う。 「何が名誉! ふざけないで!」「そんな名誉なんて、俺達には必要ない!」 「そうですか…それは残念です…」「よくも…皆を」 「そんな体で何ができるんですか? もう立っているがやっとでしょ?」 マナマナはニヤと笑い、俺を睨みつける。 え! 足が…動かない! どうしたんだ? おい! 動けよ! 「どうしたの?」「足が…」「え!?」「恐怖で動けないんですね。可愛いですね」 マナマナはそう言って、俺を指差す。 「大丈夫ですよ。その恐怖も、もう少しで終わりですから…」 マナマナは哀れみの目で見てくる。マナマナの指先が光り始める。 まずい! このままじゃあ…動きやがれ! 俺の足! 「さようなら!」 マナマナがそう言うと、指先から一本の光が俺の胸目掛けて飛んでくる。 ここまでか…。 覚悟を決めて、目をつぶる。そして、顔に何か生暖かい物が触れる。 ゆっくりと目を開けると、ミツキが俺の前に立いた。マナマナの攻撃は、ミツキの胸を貫いていた。 「邪魔が入ったみたいですね。少し、死ぬのが速くなっただけですがね…」 マナマナがそう言うと、光は消えてミツキはその場に倒れる。慌ててミツキに駆け寄る。 「ミツキ…」「良かった…あなたが無事で…」 ミツキは弱々しい手で俺の頬を触る。その手を握り閉める。 「ミツキ…なんでこなん事をしたんだ!」「だって、あなたに生きて欲しかったから…」 ミツキはニッコリと笑う。 「馬鹿やろう! ミツキが死んだら、何の意味もないだろう!」 泣きながら言う。ミツキはそっと、俺の涙を指で拭く。 「男が泣いたら駄目じゃない…」「だけど…」「あなたなら出来るわ…私は信じてるから…」 ミツキはそれだけ言うと、ゆっくりと目を閉じた。そっと、ミツキを寝かしてマナマナの方を向く。 「大丈夫ですよ。すぐにあなたも同じ所に送ってあげますから…」「テメエは、絶対に俺が倒す!」 キッとマナマナを睨みつける。 「覚悟しない! 次の攻撃が最後だ!」 深呼吸をし、ミツキ、アカネ、アユ、マユの順に見て最後にマナマナを見る。 「いくぞー!」 そう叫び、マナマナに向かって突っ込んで行く。 ザク! 「やりますね…がは…」「どうだ…貴様もこれで最後だ!」 マナマナの腹に剣を突き刺しているが、マナマナの手が俺の胸を貫いている。 グッと力をいれて、剣をさらに差し込む。マナマナは胸から手を抜き、手で剣を掴んで引き出し始める。 徐々に、マナマナの体から引き抜かれ始める。 畜生! 体に力がはいらねー。 剣を完全に抜ると同時に後ろに倒れる。 「ハアハア…さすがにやりますね…」 駄目だ…もう指一本もうごかねえ…悪いな、ミツキ…約束、守れそうにないや…。 マナマナは抜いた剣を俺の腹に突き立てる |
ー第拾八章に続くー |