君のぞRPG〜第一章〜
「ふふふ…判ってるわね。この子の命は無いわよ」「判ってるよ。絶対に殺して来てやるよ!」

「もし…失敗した時は…」「絶対に成功さてみせるさ。だから、黙って見ていろ!」

「それは楽しみね…」「駄目!私のためにそんなこと…」「煩い!」「キャ!」「貴様…」

「何をしているの? 早く行かないと…」「判った。行ってくる…」


「本当に…何も覚えてないの?」

ミツキは、診療所でだされた食事を食べている俺の顔をじっと見てくる。

それを見て頷く。

「そうなんだ…だったら、あの事も覚えてないのね…」

ミツキは凄く切ない顔をする。

あの事…何だそれ? ミツキの顔をからすると、相当な事なんだろうなー。もしかして、結婚とか…まさかな。

「なあ…少し聞いても良いか?」「良いわよ。何でも聞いて」「ここは何処なんだ?」

「ここ? ここは小さな田舎町のフェンデルよ」「そうか…ここって俺の故郷じゃないよな…」

「そんなことも思い出せないの?」「悪い…」「故郷は、ガルバトルよ」「ガルバトル?」

ミツキは小さく頷く。

そうか…俺の故郷はガルバトルか…。

「なあ、俺が崖から落ちる前の話を聞かせてくれないか?」「判ったわ…」

ミツキは一瞬嫌な顔をして話し出す。


「えっと…この地図だと、この先に田舎町があるらしいわよ」「そうか、だったら食料の補充ができるな」

「そうね。でも、田舎町だからあまり期待は出来ないけどね」「まあな…」

私達は、行方をくらました、タカユキと何者かに誘拐されたハルカを探して、旅をしている途中である。

「それにしても、何だよこの森は?」「本当ね。コンパスが無かったら、迷子になってたわね」

ドドドドドド……

「ん? 何の音だ?」「あっちから聞こえてくるわよ…」

音がする方を見ていると、一人の女の子がこっちに走ってくる。

「どいてどいて……!」「うわ〜!」

慌てて左右に避ける。その子が走り抜けて行き、後から来るのを見て驚く。

「な、何だ〜!」「ど、どうしてこんな所にモンスターが…!」

必死になって走りだす。

「何なのよ…いったい…」「さっきの子が、何か怒らせるようなことをしたんだろうぜ…」

「それで、何で私達が追われてるのよ〜!」「俺が知るか〜!」

必死に逃げていると崖に出てしまう。

「ねえ…これって…」「ああ…絶対絶命だな…」

ゆっくりと後ろを振り返ると、大量のモンスターが迫って来る。

「仕方が無い!」「え!?」

彼は私を突き飛ばし、モンスターと一緒に崖から落ちて行く。慌てて下を覗き込むが、何処にも姿は無かった。

辺りを見渡し、降りられそうな場所から下へと降りて探す。

やっとの思いで見つけ出し、生きている事を祈りつつ彼を抱えて、町へと走る。

「先生!」「な、何事?」「急患なんで…崖から落ちて…」「こっちに運んで…」「はい…」

先生は真剣な面持ちで診察する。

「どうなんですか?」「怪我はたいした事無いわね」

それを聞いてホッと肩を撫で下ろす。

「用事のために、入院してもらうわ。良いわね?」「はい…お願いします」「大丈夫よ。すぐに目を開けるわよ」

「そうですよね…」「運ぶから、手伝ってもらえるかしら?」「はい…」

病室へと運ぶ。


「そうだったのか…」「うん…」「いろいろと迷惑かけたな…」「ううん。気にしないで…」

「さてと。飯も食べたし、そろそろ出かけるか!」「え、何処に?」「ハルカを探すんだろ?」

「それはそうだけ…大丈夫なの?」「ああ。ほら、この通りさ!」

ミツキの前で体を動かして見せる。それを見て、ミツキはクスクスと笑う。

病室のドアを開けようとした時、モトコ先生が入ってくる。

「あら、もう行くの?」「はい、お世話になりました」「そう、頑張ってね」「はい!」「じゃあ…はい!」

モトコ先生は手を出す。

「何ですか? この手は?」「何って、医療費の請求よ」「で…いくら何ですか?」「はい、これ」

モトコ先生は請求書を俺に渡す。そこに書かれている金額を見て驚く。

「こ、こんなにですか?」「先生…これは…」「もしかして、払えないの?」

二人で苦笑いを浮かべる。

「仕方が無いわね。選択肢は二つ!一つは、ここで働いて返す。もう一つは、実験を手伝う。どっちがいい?」

「あの…その実験って?」「妹の実験に付き合ってもらうだけよ」「働かして下さい!」「私も…」

「そう、残念ね…」

モトコ先生は心底残念そうな顔をする。

「さっそく、明日から働いてもうわよ」『はい!頑張ります!』「宜しい!」

こうして、医療費を返すためのバイトが始まった

第二章に続く


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