君のぞQUEST〜第九章〜
「さて、この山を越えれば…次の街があるはずだぞ!」

地図を見たあと、見える景色を眺める

「ねぇ…ここって、まだ南国よね〜?」「そのはずだけど。どうかしたか?」

ミツキは黙って指差す。その先には、どう見ても雪山が存在していた

「う、嘘だろ…」「現実みたいよ…私の目にも見えてるから…」

何で…こんな南国で、雪山なんてあるんだ?それに、山に小さくだが城らしき物が見える

「ねぇ…とりあえず、街に行ってみましょう。何か聞けるかも知れないし…」「そうだな!」


「お待ちどう…」「あの…すみません…」「なんだい?注文と違ったかい?」

「いえ…そうじゃなくって、ここから見える雪山について、お聞きしたいんです」

店のおばさんは一瞬嫌な顔をしたあと、小さくため息をつく

「どうして、あの山について知りたいんだい?」「南国で、あれだけの雪山があるから…気になって…」

「そうかい…。これだけは言っとくよ!命が惜しかったら、あの山には近づかないこった!」『え!?』

「それって…」「あの山に挑んで、誰一人として帰って来てないんだよ…」「何か居るんですか?あの山に?」

「さ〜ね…。誰も帰って来ないんだから、判るわけないだろ?」

それもそうだよな

「山に城がありますよね?」「あんた!その事を何処で!」

おばさんは俺の両肩をつかんでゆする。おばさんは、しばらくゆすって慌てて手を離す。

はひ〜。頭がくらくら…する〜

「山から見えたんです」「そうかい…山に向かった奴らは、その城を目指して行ったんだよ…」

「何のためですか?」「それは…」


「ねぇ…どうするの?」

ミツキは、向かい側のベットに腰を降ろしながら聞いてくる

「どうするって…」「助けに行った方が良いわよ!絶対!」「でも、死ぬんだぜ…」

それを聞いてミツキはムッとした顔をする

「何よ!今までだって、何度もそんな事を乗り越えてきたじゃない!」

ミツキは立ち上がり、俺の横に座る

「城に、氷付けにされた姫様が、何千年も眠ってるのよ。可愛そうだと思わないの?」

「そりゃ〜。思うけど…」「でしょ?だったら…」「俺が言いたいのは、この格好だと凍死するって言ってるんだ!」

それを聞いて、ミツキは自分の格好を見て納得する

「判ったか?俺だって、助けてやりたいさ。でもな…、行く前に俺達が凍死したら、意味が無いだろ?」

「そうね…」

コンコン…

「は〜い!開いてますよ…」

ドアが開き、BARのおばさんが入って来る

「何か…用事ですか?」「あんた達、あの山に行く気はあるかい?」『え!?』

「あんた達に、かけてみようと思ったんだよ…」「でも、行くなって…」

おばさんは高笑いを始める

「青い髪の子の目を見た時に、ピンと来たのさ…だから、ほら」

ドサ!

「何ですか…これ?」「これを着て行けば、凍死の心配は無いよ!」「有難う御座います…」

ミツキは深々と頭を下げる。そのあとで慌てて頭を下げる

「良いって…それより、絶対に助けてあげてね。姫様を…」「任せて下さい!」

ミツキは胸を張りながらドンと胸を叩く

「頼もしいね〜」

おばさんは愉快そうに笑う

「それじゃぁ…私は、これで行くよ!」「本当に有難う御座います!」

おばさんは手を振りながらドアを閉める

「これで、助けに行けるな!」「そうね…」

ミツキはパンと自分の頬を叩く

「今日は、ゆっくりと休んで。明日した乗り込むぞ!」

コンコン…

「お食事のご用意が出来ました…」

それを聞いて、ミツキと同時に腹がグ〜っと鳴る

第拾章に続く


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