君のぞQUEST 〜第四拾五章〜
「か〜。気持ち良いね〜」

手は血で真赤に染まり、あたりには壊れた人形のように兵士が無数に倒れている

『居たぞ〜!こっちだ〜!』「お、まだ来るのか?今度は、少しは楽しめるかな…」

バサッと漆黒の翼を広げ、声のした所に向かって飛んで行き、全員を切り殺す

「さて…次はどこだ〜?」

あたりの気配を探ると、柱の影に人が居る事に気が付く。ニヤリと笑い、そこへと行く

柱の影に居たのは、恐怖に震える兵士の一人居た

「御免なさい…御免なさい…」「あーん?何言ってんだ?」「命だけは…命だけは…」「生きたいか?」

そう聞くと、兵士は何度も頷く。それを見て、不敵に笑って剣を振り下ろす。兵士の顔をかすめ、肩でとまる

「面白くねー。何処でも行きな」

剣を引き背を向けた瞬間、兵士は一変し襲い掛かってくるが、指二本で剣を受け止める

「てめぇ…」

冷やに兵士を見下ろし、兵士の首が宙に舞う


バン!

「ここが大将の居るところか〜?」「でや〜!」

ドアの上に潜んでいた大将が飛び掛ってくる

「それで不意打ちのつもりか?」

軽いステップでそれをかわし、大将の喉もに剣を突きつける

「てめぇじゃねー。おい!」「は、はい…」「ここに居るのは、てめぇだけか?」「は、はい…」「そうか…」

大将はゆっくりと倒れ、痙攣した後に息絶える

「さて、隠れてないで出て来いよ…ギャリンよ〜」

柱の影が伸び、人の形に変化する

「良く私が居ることに気が付きましたねー」「てめぇの血生臭いは、鼻に付くんだよ!」

「おや、それは気が付きませんでしたね。どうして、貴方みたいな人が私の名前を知ってるのやら…?」

「教えて欲しいか?」「ええ…是非とも」

漆黒の翼を広げ、目が真赤に燃える炎のように赤くなる

「忘れたとは言わせねー。俺様のことをなー」「はて?誰でしか…?」

一瞬のうちにギャリンの喉もとを掴み、ゆっくりと力をくえながら持ち上げる

「そうかー。俺は、何て馬鹿な部下を持ったんだろうな…」「が…まざが…」

「んー?死んだはずだとでも言いたそうだなー。確かに、俺の体は死んだ…。だが、魂は死んで無かったんだよ」

首の骨がミシミシと鳴り始める

「どうだ?嬉しいだろ?かつての主様が、目の前に居るんだからなー」

ニヤーと笑い、後ろに荒々しく投げ飛ばす

「ゲホゲホ…ガイオ…様…」「久しぶりだね〜。その名を聞くのもー」「ご、ご無事で何より…」

ギャリンはフラフラと立ち上がり、媚を売る様にしながら近づいてくる

「ですが…どうして、そのような姿に…」「知りたいか?」「はい…是非とも…」

ギャリンはペコペコと頭を下げる

「この体は、俺から体を奪った奴らの息子の体よ。最後の一瞬に、女の子供の中に逃込んだのよ」

「それは…さすがですね」「そんなことは、どうでも良い。最近、小さな小屋を襲ったか?」

「小屋…で御座いますか?」「ああ…小さな女の子が居たはずだがな…」

ギャリンはポンと手を打つ

「はい。確かに襲いましたが、それが何か?」「そうか…」

ギャリンの顔面を両手で掴み、不適に笑う

「お前が襲った小屋にはなー。俺の大切な奴が居たんだよ…」「え…そ、そんな嘘を…」「じゃあな…」

首を手で引きちぎって捨てる

『な、何なの?』『ひ、酷いですね…』「ち、まだ生き残りが嫌がったか…。始末するか…」

すっと柱の影と同化し、声の主を待つ。しばらくして、二人の女が入って来る

「こ、これって…」「な、何があったんですか?」「私に聞かれても…」

気が付かれないように、影から抜け出して一人の女の背後に回りんで口を押さえる

「うぐ…」「え!?」「おっと…動くなよ。動くと、この可愛い譲ちゃんの首が転がるぜ!」「く…」

短剣を取りだし脇腹を刺そうとするが、その手を掴み短剣を落とさせる

「変なことを考えるなよ。まだ、死にたくないだろ?」「その目と漆黒の翼…。あんた…何者?」

「知ってどうする?封印でもするかー?」「封印…それも良いかもね…ハルカ!」「うん!」「な、何だと!」

振り返った瞬間の隙をつかれ、顔面を蹴られて数メート吹っ飛ばされる

「アカネ…大丈夫?」「は、はい…」「てめぇ…」「ハルカ!早く!」「う、うん…」

部屋の入り口に居る女が杖で地面を叩くと、俺の足元が光だしす。光は魔方陣の形へと姿を変える

魔方陣が完成した瞬間に、再度杖を地面を叩くと光に包まれる


光が徐々に消えてゆく

「どうやら、成功したみたいね」「本当にそうですか?お姉ちゃんですよ…」

アカネが不安そうな顔をする

「さて、どうなったかしら?」

そっと近づいて覗き込む。さっきとあまり変化の無い人が倒れている

「とりあえず成功みたいね。翼もないし」「そうですか…お姉ちゃんだから、心配で…」「アカネ〜」

「これで、人間ってことよね」「た、たぶん…」「中途半端に人間化してたりして…」

アカネはシラーっとハルカの方を見る

「ま、起きてもらえば解るわよ」

体を起こして、頬を数回叩く。すると、ゆっくりと目を開ける

「おはよう。どうですか〜気分は?」「良い訳無いだろうが…」「あ〜目の色が、赤いまま…」

手を振り払い立ち上がる

「てめぇら消えな!」

そういって地面を叩くが、何もおころない

「いで〜!な、何でだよ…」「何でって、力を封印したんだから、当然よ」「な、何〜!なんてことしやがる!」

そういって私の胸倉を掴む

「諦めなさい。もう、貴方は普通の人間よ」「俺が…俺が…人間だと…」

その場にふさぎこむ

「さ、帰るわよ」

そういって、出来立てホヤホヤの人間を引っ張る

「何しやがる、離しやがれ!」「嫌よ。しばらく、私の監視下で生活してもらうから。そのつもりでね」

「な、何〜!」「さ、ハルカ。転送御願い」「うん」「待てコラ〜!」

私達は光に包まれ、その場から消え去る。転送されて先は…

「何…ここ?」「良くサスペンスドラマのクライマックスにある、見事な断崖絶壁ですね」

「ハルカ〜」「ふぇ〜ん。御免なさい〜」「俺の力は…こんな奴に封印されたのか〜悲しいぞ〜!」

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