君のぞQUEST 〜第四拾六章〜
俺が力を封印されて何日かが立ち、今ではこの生活にも慣れ始めている

「うーん…」「おはよう。気分はどう?」「うげ〜。朝から、怪力女だ〜」

顔面に硬い物がめり込む

「うご!」「あんたの朝の挨拶はそれか〜!」

ピクピク…ピクピク…


「で、どう?」「どうって?」

テーブルに肘をつき、顔をそらして座る

「体におかしな所とか…」「あるぞ…。沢山な」

ミツキは、しらーっとこっちを見る

「どうせ、力が使えないとか言うんでしょ〜」「うぐ…」「それ以外で何かないの?」「無いよ…」「そう…」

ミツキはふーんと頷き、こっちを睨み付ける

「なら、その背中のは何よ?」「え!?背中…」

鏡の前に行き見てみと、背中には翼が生えていた

「これは、どう説明するの?」「いだだだ…そんな力で握るな。痛いから…」「あ…」

ミツキは何か気がついた用に、翼をじっと見る

「これって…羽よね〜?」「見れば解るだろ?俺は、白より黒の方が好きだったけどな」

「ねぇ。これの羽頂戴♪」「は〜?何言ってんだ…」「どうせ邪魔な物だしー」

ミツキから離れて距離をとる。ミツキはニコニコと笑いながら近づいて来る

その顔は『痛くしないからーこっちにおいで〜』と語っている

窓から外に飛び出して空に逃げる。ミツキは素早く紐で両足を拘束する。

両足が拘束され、紐もそんなに長くなかったために、外壁で顔面を強打する

「みぎゃ!」

ミツキはスルスルっと紐を手繰り寄せる。そして…


「あ、ミツキ…?」

ガタガタ……

「え…?な、何があったの…?」


手をゆっくりと持ち上げ手眺める。その手には、真新しい血がつている

ゆっくりと顔を上げると、そこには両親が無残に切り刻まれた姿で横たわる

「アイズ王…ディス王妃…な!」

物音に気がついて、一人の兵士が走り込んで来る。ゆっくりと振り返ると、兵士の顔は恐怖におののく

「き、貴様が…」

再度手を見て、顔を持ち上げるて笑う。他の兵士達も駆けつけて、俺は牢獄に幽閉される

数日後…王を失った城など脆い物で、あっさりと攻め落とされる。

その騒ぎの最中に脱走はかり、数年後…大魔王と呼ばれる存在になる

俺が最初に殺した人物…ガイオの最初の獲物は、皮肉にも自分の両親だった…


ゆっくりと目を開け、額に手を置く

『目を覚ましたか、主殿…』「俺は…?」『三日間ほど、眠っていた』「へぇ…」

左手を誰かに握られている事に気がつき、そこに目をやるとミツキが寝息をたてていた

『二日かも、寝る間も惜しんで主に尽くしていたのだ…』「そうか…」

三日か…

『主殿…一つ聞きたい』「んー何だ?」『どうするつもりなのだ?もし、力か体が戻ったら…』

そうか…力かー。夢で見るまですっかり忘れていた。そして、何処かにあるという俺の元の体…

「答えは決まってる…他に選択肢は無いさ」『そうか…そうだな。それを聞いて安心した』

昔の俺には、仲間なんて居なかった…ただ、俺が力で押さえつけた関係。でも…今は違う

昔の様な孤独など微塵も感じない。考えてみれば、力を封印されて正解だったかもしれない

『我は、もうじき消える…。だが、主殿…安心して消えられる』「そっか…」『さらばだ…』「ああぁ…」

ミツキの寝顔を見てフッと笑う

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