君のぞQUEST〜第三拾八章〜
アカネが何やら見かけない物を眺めているのに気が付く

「アカネ…」「はい…何ですか?」「それ…どうしたの?見たところ、短剣よねー」

アカネは慌ててそれを後ろに隠す

「何で…隠すのかしら〜?」

ずいっとアカネに顔を近づける。アカネはあはは…と笑ったあと、頭を下げながら隠した物を前にだす

「で、どうしたの?」「屋敷のこと覚えてますよね?」「まあね…」

ついこの前のことじゃない。普通は忘れないわよ

「あそこから、逃げ出す時にちょっと…」「盗んだんね…」「え!?違いますよ…」「え!?どういうこと?」


「うーん…やっぱり、エタナールはここが一番だな」

風を全身に受けながら伸びをする

『一つ…前から気になってることがあるんだが…』「何だよ。あらったまて…?」

『お前は何でこんなことをしてるんだ?』「何でだろうな?俺に解らん!うんうん…」

『わ、解らんだと…』「最初は、人探しの依頼を受けて妙なことに巻き込まれ。今度は成り行きでこうなったんだ」

『波乱の人生だな…』「ま、これもそれなりに面白いぞ」

下から出て来るためのハッチが開き、アユが出て来る

「お!目が覚めたか?」

アユはいきなり、銃を俺の顔に突きつける

「な、何の冗談だ…?」「私が寝てる間…変なことしなかったでしょうね〜?」

あゆはゆっくりと引き金を引き始める

『安心しろ、こいつは何もしていない!』「うっさいわ!なまくら刀は黙ってろ!」『な、なまくら…』

ズーン…

あ、落ち込んだ

「正直に答えなさい…どうなの?答えによっては、頭が吹っ飛ぶわよ!」

アユは不適に笑う


「ふーん…気が付いたら、手の中にねー」

アカネに返す

「それしても、面白い作り話ね」「あー信じてませんね!」

アカネはぶーぶーと顔を膨らませる

「信じろって方が無理があると思わない?」「それは…そうですけど…」『そんなに人を疑ってはいけませんよ』

「え!?」

辺りを見渡す。アカネはそれを見て首を傾げる

『この子の云っていることは、本当ですよ。私が保証しますよ』『ケイルさん?』『そうですが…』

「って…ことは、聖剣の一つなの?」『ま、そう呼びたければ、そう呼んで下さい』『キャー!』


頭の横を一発の銃弾が通り過ぎる

「次は外さないわよ…」「ま、待て…俺は本当に何もしてない…」「嘘をつくんじゃないさ!」

アユの言葉にビクッと小さく飛び上がる。アユは前髪をかきあげて、たんこぶを俺に見せる

「これが証拠よ…」「ま、待て…」

しかし…あれだけの突進をくらって、たんこぶ一つとは…どんな頭をしてんだ?

「さー責任を取ってもらいましょうか〜」「だから、それをつけたのは…スモッグだって!」

「そんな嘘が通じとでも思ってるの?」「な、何〜!」「さようなら…」

アユが引き金を引こうとした時、後ろから盥が飛んで来てアユの後頭部にぶち当たる

「あにするのさー!」「それはこっちの台詞!」

ミツキが呆れ顔でこっちを見ている

「新しいのが見つかったわよ」「え!?」『どうも、始めまして。私はケイルと申します。以後お見知りおきを…』

「な、何だ…」「な、何なのさ…妙にはなつく奴ねー」「それじゃ。お楽しみ所をお邪魔したわね!」

ミツキはさっさと降りて行く。ぽかーんとハッチを眺める

君のぞQUEST〜第三拾九章〜


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