喧嘩
「それでね…」「へーそうなんだー」

廊下で遙とたわいもない話をしていると、教室から孝之が出て来る

孝之と遙は、お互いに驚いた顔をした後プイッとお互いにそっぽを向く

え!?何でこの二人が…?

その光景の間に挟まれて目をパチクリさせる


帰りに遙を誘って、ファーストフード店に入る

「それで…孝之と何かあったの?」

遙は孝之の名を聞くなりムッとした顔をする

「孝之君のことは言わないで!」

遙はそういってポテトをやけ食いする

「ねぇ…何があったのか知らないけど…。話したら、少しは楽になるわよ」

遙はポテトを食べる手をぴたっと止めて、私の方をじっと見てくる

「笑わない…」「え…!?」

遙の発言に訳が解らずキョトンとする

「あのね…」「うん…」「ソースと醤油でね…」「え…ソースと…醤油…?」

半ば呆れ顔で首をかしげる

ソースと醤油って…まさか。そんなはずないわよね

「目玉焼きにどっちをかけるかでね…」

ゴン!

テーブルで頭をぶつける

「水月…?」「あは…あははは…」

まったく…平和よね。この二人は、そんなことで喧嘩できるんだから

「喧嘩の理由はそれだけなの?」「え!?」

遙はキョトンとした顔をする。その顔を見て理由はそれだけだと理解する

「とにかく!孝之と仲直りした方が良いわよ」「いや!孝之君から誤るまで、絶対に口を聞かない!」

遙って、強情なところがあるから…。これは一癖も二癖もあるわね


「ってことで、協力して…」

パンと手を合わせる

「『ってことで』って言われてもなー。何も…」

ミシ!

顔面に一発入れる

「古典的なボケは必要ないから…」「は、はい…」「とにかく、孝之を連れ出してよね」「え〜やだ〜」

「遺書は書いてあるの?それから…」「わ、解った…。孝之を連れて行くから…命だけは。姉御…」「誰が姉御だー!」


しばらくお待ち下さい。ただいま教育的指導をしている中です


「遙〜」「あ、水月〜。どうしたの?」「今日…暇?」「え!?別に…用事はないけど…。どうしたの急に?」「ちょっとね…」

そういってえへへ…と笑う


丘を登って行くと、二つの人影が見てくる

うん。ちゃんと連れて来てるわね

孝之は、私の後ろをトボトボと歩いて来る遙を見て逃げ出す。だが、それはソフトボールを一発で可決する

「俺は絶対に謝らないからな!」「私だって!」

二人は背を向けて立つ

「お前ら、恥ずかしくないか?ソースがどうだのってことで喧嘩なんて…」『十分に大切なこと』だ!」なの!」

遙と孝之は顔を見合わせ、お互いに顔を紅くすしてそっぽを向く

「息もピッタリよね」「そうだな。俺達も…」

ドス!

腹に肘撃ちを一発入れる

「ぐほ…」「とにかく、つまらない意地を張らないでさ。どっちも、誤るタイミング逃したんでしょ?

だから、意地になるのよね?」

そういってふっと笑う。二人は顔を紅くしながら俯く

「ほら、仲直りに握手よ!」「う…うん…」「そ、そうだな…」

二人は照れくさそうに手を出して、握手をする

「ごめんな…」「ううん…私の方こそ…」

二人の周りだけ、別世界へと変貌を遂げる

「二人だけの世界だな」「ラブラブモード全開ね…」

呆れ顔で光景を眺める。それからの孝之と遙は、さらにラブラブになったのだった。

ーENDー



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