変わり行くもの…
「出席を取るぞ…」

先生がそういって、順番に名前を呼んで行く。その時、俺の視線は一点に向いていた

ぽっかりと空席が二つ…。それは、孝之と速瀬のだ。あれ以来、二人は姿を見せない

「居るんだったら、返事をしろ!」

出席簿で頭を叩かれる。教室中がどっと笑いだす

「すみません…」「今度やったら、欠席だからな!」「はい…」

先生は教卓の前に戻って行き、いつものように授業を始める

生徒が一人や二人居なくても、何の変化も無く日常は過ぎて行く


「わざわざ来てくれたのに…御免なさいね…」

速瀬のお母さんは、申し訳なさそうな顔で頭を下げる

「これ…今日やったプリントです…」「ありがとうね…あとで渡しておくわね」「お願いします…僕はこれで…」

「本当に、御免なさいね…」

お母さんは深々と頭を下げる


病室の前に行くと、中から茜ちゃんが出て来る。茜ちゃんは軽く会釈をし、足早にどこかに行ってしまう

そっと、ドアを開けて中に入る。中では、涼宮の髪が開いた窓から入ってくる風でなびいている

その横で、ずっと手を握ったままの孝之が座っている

「そこ…どいて下さい!」「あ!?」

気がつくと茜ちゃんが俺の後ろに立っていた。その手には綺麗な花が生けられた花瓶を持っていた

「綺麗だね…」「はい。私が選びましたから…」

茜ちゃんはにっこりと笑うが、何処と無く儀地無い感じがする

「涼宮さ〜ん。回診ですよー」

孝之と一緒に病室を出る


家に帰り、速瀬の携帯に電話をしてみるが聞こえてくるのはおなじみの

『電波の届かない場所に居られるか、電源を切っているものと思われるます…』

携帯をきり、テーブルの上において横になる

何でこんなことになったんだよ…。どうして、みんなばらばらなんだよ…畜生!


翌日も、そのまた次の日も二人は学校に来なかった。そんなある日、速瀬からに電話で呼び出される

待ち合わせ場所に行くと、速瀬はすでに来ていた。そこで、あの日にあったことを聞かされる

「お、おい…」「遙を事故に合わせたのは、私なの…。だから、孝之をささえてあげないといけないの…」

「そうか…もう決めたんだな…」

速瀬は黙って頷く

「解った。俺も出来る限り協力するから…」「ありがとう…」

それからまもなくして、速瀬と孝之は恋人同士になった…。そして、それから歯車が狂い始める

ーENDー



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