キミレイバー |
『遙か機転倒!』『コラー!遙ー!何やってるー!』『えーん…すみませーん』 『遙? 一人で起きれる?』『水月ー。助けてー』『もー、仕方がないわねー』 遙機を起こす 『水月…御免ね…』『遙ー!今度、転倒してらお前だけ居残りだー!』『えー!』 このまま、遙が倒れずに訓練を終えるなど、皆無に近いものがあるわね 『遙!頑張りましょ!』『うん!』 「っで結局、居残りなんですか?」「そう!その後も、五回も転ぶのよ。もう、レイバーもボロボロよー」 「まあ、お姉ちゃんだったらやりそうですが…」 茜は苦笑いを浮かべる 「っで、感じのお姉ちゃんはどうしてるんですか?」「部屋にこもってるわよ」 ドリンクを飲みながら言う 「部屋にですか?」「そう、よっぽどショックだったみたいね。五回も転んだのが」 「確か、シュミレーションは平均だって…」「やっぱり、実機とは違うから…」「そうですね…」 ドリンクを飲む コンコン… 「遙…入るわよ?」 ガチャ… 中に入ってみると、電気も付いていなかった。電気を付けようとすると、遙に止められる 「遙…」「水月…私ってむいてないよね…」「え!?」「だって…私、操縦下手だし…」 「誰もで、最初はあんなもんよ…」 苦笑いを浮かべながら言う 「でも、水月は美味く乗りこなしてよ…」 暗闇の中、遙の視線を感じる。そっと、遙の側に歩いて行って横に座る 「私なんて、まだまだよ。それに、急がなくても良いと思うわよ。遙は、遙のペースで頑張れば」 「でも…このままじゃぁ…水月の足手まといに…」 遙の肩を持って、自分の方を向かせる 「私が何時、遙が足手まといだって言った? 私は全然、そんな事思ってないわよ」「本当…」 遙は目を潤ませながら、私の方をジッと見てくる。黙って頷く 「良い…遙。私だって、最初っから美味く載れた訳じゃないのよ」「え!?水月が…?」 「恥ずかしいんだけど…シュミレーションの成績は、最下位なのよ…」「えー!?どうして?」 「どうしてって言われても…こればっかりはねー」 苦笑いをする 「御免…変なこと聞いて…」「ううん、別に良いわよ。でも、何で遙はレイバーに乗ろうって思ったの?」 「笑わない…」 遙はつぶらな瞳でジッと見てくる 「笑うわけ無いでしょ」 私の理由だって『彼と同じ所に居たかった』だもん 「あのね…孝之君と一緒に居たかったから…レイバーに乗れば、孝之君の気持ちとか判る気がしたんだ…」 「遙…」「でも、私…ダメでね。パイロットにむいてないって言われちゃった…」 「え!?何時?」「さっき…」 遙は顔を上にあげる 「やっぱり、最初から無理だったんだよね…私が、パイロットなんて…」 パン! 思わず、遙の頬を引っぱたく 「遙!遙の夢って、そんな簡単に諦めらる物だったの?」 目にうっすらと涙をためながら言う 「そんな、簡単に捨てられる夢のためだったら、簡単に諦められて当然ね!」 立ち上がり、遙に背を向ける 「遙…もう、私達はチームでも、親友でもないわ!」「水月…」 「遙が、そんな気持ちでやってなんて…見損なったわ!」 そう言って、部屋から出って壁にもたれて、ボーと外の景色を眺める しばらく、そうしていると、ドアが開いて遙が出て来る 「遙…」「御免…」「ううん。誤るのは私の方よ…」「違うの、悪いのは私だから…」 遙は目に涙をためながら言う 「水月が出て行った後ね、一人で考えたの…私の夢について…」「遙…」 遙にそっと手を伸ばすが、途中で止める 「あのね…私の夢はね」 遙は笑顔で私の顔を見る 「水月と一緒に、パイロットになることだって、気が付いたの」「遙…」 目から涙が零れ落ちる 「もー、水月…。泣いたら、ダメだよ」「御免ね…でも、嬉しくて…。遙、これからも宜しくね」 そう言って、手を前に出す 「私こそ、宜しく」 遙と硬い握手を交わす 『コラー!遙ー!お前という奴はー!』『御免なさいー!』 本当に、パイロットになれるのかしら? 倒れてジタバタしている、レイバーを見ながらそう思った |
ーENDー |