異世界 -第五章-
風呂から上がって、着替えを探す。

これかな?

「翔さんのは、こっちですよ」

秋子さんがドアを開けて顔を出す

「うわー! 開ける時は何か言ってくださいよー」「あら、そうでしたね」

秋子さんは、別に驚いた様子も無かった

「これですか?」「はい。それと紅茶を用意しときますね」

そう言って秋子さんは、行ってしまう。着替えて居間に行き、秋子さんが出してくれた、紅茶を飲みながら聞いてみる

「秋子さん」「はい、何ですか?」「キャサリンにあんまり変なことふきこまないで下さいね」「あら、何のこと?」

秋子さんは、判ってない顔をする。

「男と女が、一緒に入るのが当たり前だって、言ったことですよ」「何かまずかったですか?」「あのですね…」

「二人は、お付き合いしてるんでしょ?」「な、何言ってるんですか!」「あら、違ったの?一緒に寝てるからそうかと」

「あれは、誰かのせいでそうなったんです!」「そうなんですか?」「そうなんです!」

「翔さんは、キャサリンさんのこと、どう思ってるんですか?」「どうって…ただの友達位にしか…」

「そうなんですかー」

秋子さんは残念そうな顔をする。

「私はてっきり、キャサリンさんのこと好きなのかと」「そ、そんなはずないでしょー!」

「あら、顔が紅いですよ」

秋子さんはにこやかに笑う。

「これは、風呂上りだからです!」「そうですか〜」「キャサリン遅いなー」「翔さん見てきてくれませんか?」

「判りました」

風呂場に行く。

「キャサリ〜ン?」

入ってみるとキャサリンが倒れていた。慌てて駆け寄るって呼びかける

「大丈夫か?」「ほぇー」

こりゃ〜のぼせたな、とりあえず運ぶか

「どうでしたか? あら…これは大変!」

キャサリンを部屋に運んで、ベットに寝かせる

「まったく、何をしてたんだ?」「ほぇー」「翔さん!」「はい?」

秋子さんはドアのほうを指差す

「判りました」

部屋を出て居間に行って、テレビを見る。しばらくして繭がやって来る

「ねー、キャサリンさんは?」「部屋に居るよ!」「一緒に居ないの?」「何で居ないといけないんだよ?」

「だって〜、二人は付き合ってるんでしょ!」「馬鹿なことを言うな!」「えー! 違うの?」

「違うに決まってるだろー!」「一緒に寝たり、お風呂に入ったりしてるから、てっきりそうかと思ったよ」

「勝手に思ってろ!」「お兄ちゃんは好きなの? 嫌いなの?」「お前は、嫌いだ!」「あんですって〜!」

繭は今にも切りかかって来そうな勢いになる

「あ! キャサリンのことか〜」「そうよ! この馬鹿!」「なんだとー! この貧乳!」「言ったわねー!」

「ああ、何度でも言ってやるよ! 貧乳!貧乳!」「頭にきたー! ぶっ殺してやる!」

繭は真刀を抜く

「やめんか! いくつ机を壊せば気が済むんや!」「だって…」

「だってやない! お前が暴れて物が壊れへん時は無かったからなー」「そうだ!そうだ!」

「翔! お前もや! 前に言ったこと守れてないやんか!」「ひぎゃ…」

「さ〜、聞かせてもらおうか…」「何をですか?」「そりゃ〜きまっとるやろ〜」「私も知りたい!」

「実に興味深いことでね」

何でみんなが集まってきてるんだ!

「さ〜!どっちなんや!」「どっちなんですか?」「どちらです!」「どっち!」

「だ〜! 好きだよ! 好き! これでいいのか!」

「やっぱり、そうかい」「そうでしたか〜」「ふむ、なるほど」「やっぱりね、そうじゃないかなーって思ってたんだ〜」

「あら、やっぱりそうだったんですか〜」

秋子さん何時のまに

「キャサリンはどうなりましたか?」「ここに居ますよ!」

何〜! ここに居たらまずいだろ!

キャサリンを引っ張って、部屋に戻って鍵を閉める

これでよし!

「さっき…言ったこと本当?」

キャサリンは、顔を赤くしながら聞いてくる

「ああ…本当だ」「みんなに無理や言わされたとかじゃないの?」「そんなことは無い! あれは俺の本心だ」

「嬉しい!」

キャサリンに抱きつかれる。そっと、キャサリンの頭を撫でる

「今日は、寝ような」「うん♪」「電気消すぞ」「うん、いいよ」

電気を消してベットに入る

「明日が楽しみだね」「そうだな、一番最初に何に乗りたいんだ?」「箱がすべるやつ」

「ジェットコースターかー」「そう言うんだ〜」「ああ…他には無いのか?」

「うーん…」「行って考えてもいいんだぞ」「そうだね、でもこれだけは絶対に乗りたいのがあるよ」

「ジェットコースターのほかにあるのか?」「うん! 観覧車!」

「ちょっと待て、それって…」「秋子さんが、ぜひ乗りなさいって」

また、秋子さんですか〜

「ねえ…」「ん?」「観覧車ってどんなの?」「そうだなー、簡単に言うと箱が回ってる感じかなー」

「箱が?」

キャサリンはキョトンと俺のことを見てくる

「簡単に言うとだけどな…」「そうなんだー」「行ったら、最初に見せてやるよ」「うん♪」

「ちょっと聞くが…」「何?」「秋子さんから、他にどんなこと聞いてるんだ?」「たくさん!」

「たくさんねー」「秋子さんって凄いんだよ!」「まあ、たしかにあの人は凄い人だよ」

「何でも知ってるんだもん」「たとえば?」「料理の仕方とか」

「それなら、冬子さんだって知ってるかだろー」「ううん。違うの、私の国の料理をだよー」

あの人だったら、そう驚くことじゃないな

「秋子さんは、まさにニュータイプだな」「ニュータイプ?」

ニュータイプって…漫画じゃないんだし

「簡単に言うと、何でもできる人のことを言うんだよ」「そうなんだ〜」

コンコン

「誰か来たみたいだね」「俺が出てみるよ」

鍵を開けて、ドアを開ける

あれ?誰も居ないぞ

下を見てみると紙が落ちていた

なんだ〜? なになに『明日は、キスくらいしてこいよby繭』 何じゃこりゃ〜?

ドアを閉めて鍵を閉める

「なんだったの?」「繭の悪戯だ」「ふーん…」「さて、もう寝ないと明日がきついぞ」

「大丈夫だよ!」「風呂でのぼせた奴が言う台詞か?」「う〜」

「何でそんなになるまで、入ってたんだ?」「翔さんのこと考えてたら…」「俺のこと?」

「うん、翔さんが私のことどう思ってるんだろうって、考えてたら…」「そうかー」「うん…」

「俺の気持ち判って良かったろ?」「うん…ねえ?」「どうした?」「何時から、私のこと…」

「何時からだろうな。気が付いたらこんな気持ちになってから…」「そうなんだー、でも嬉しいよ」

「キャサリンの方は、何時からなんだ?」「初めて会った時からだよ」

「一目惚れか?」「うん♪」「そうかー」「あ!明日、秋子さんが遊園地まで連れってくれるんだって」

「そうか〜」「そろそろ、寝るね。おやすみ」「おやすみ」

さて、明日は何時に起こされることやら

ゆっくりと目を閉じる

第六章に続く


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