異世界 -第六章-
ゆっくりと目を開ける

「翔さん大丈夫ですか?」「ああ、何とか」

顔を左右に振りながら、体を起こす

「よかった〜」「心配かけたみたいだな…」

「気にしないで下さい」「もう知ってるよな?」「婚約のことですか?」「ああ…」

「仕方がないですよ、いまさら言っても遅いですし…」「そうだな…あのさ…」「はい?」

「ちゃんと答えくれよ」「はい!」

真剣な顔でキャサリンを見る

「俺と婚約したこと、後悔してるか?」「……してません、私は翔さんと一緒になることが、夢でしたから」

「そうか〜」「翔さんはどうなんですか?」「俺も同じだ」「翔さん…」「キャサリン…」

抱き合う

「さすが夫婦ですね〜」

ん? 繭! 何で居んだよー

「おまえどかっら入って来た!」「ちゃんとドアから」

繭はドアを指差す

「ノックくらいしろー!」「したよ。でも、返事がないから入ってきたの」

「返事が無いからって、勝手に入ってくるな!」「それよりさー、いつまでそうやってるのー?」

繭はニヤニヤと笑いながら言う。

『え!?』

慌てて離れ、繭を引っ張って部屋から出る

「今何時だ?」「21時!」「もうそんな時間なのか!」

「そうよ、ずっとあんたに付き添ってたんだから」

「ずっとか…」「ちゃんとお礼言っときなさいよ!」「おまえに言われなくてもするよ」

「どうだか…」

繭は怪しいといった目で見る

「ところでアレはどうした?」

繭が刀を持っていないのに気がつく

「あー、アレね…もうやめたんだ!」「どうして?」

「なんとなくかな…」「そうか…」「剣は捨てたけど。秋子さんから、いいもの教えてもらったんだ」

「何を?」「まず大根を用意します」

繭は何処からともなく、大根を取り出す。

「ふむふむ…」「そして、これを上に投げます!」

繭は大根を上に投げて、飛び上がる。

「どうりゃ〜!」

スパ!

落ちてきた大根は真っ二つになっていた。

「どうよ!」「おー! さすが、最初から切れ目が入ってただけの事はある!」

「違うわよ! よっぽど、私の手刀の餌食になりたいみたいねー!」「俺が悪かった!」

「ふん! やっと私の凄さが判ったか!」

繭はエッヘンと胸を張る

「ところで、この大根ってどっから持ってきたんだ?」「翔さんだめですよ、勝手に持って行っちゃー」

「え? これは、繭が…っていない!」「人のせいにしては駄目ですよ」

何で俺がー。うううう…

「はい…」「翔さん、おやすみなさい」「はい、おやすみなさい」

部屋に戻る時にふと思う

秋子さんは、いったい何をしてるんだ? ちょっと見てみるかー

そーと、台所を覗く

何か作ってるんだな

「うん、こんなものですね」

何を作ってるんだ? ビン…? 何に使うんだ?

「翔! どうした?」「うわー! 春子さん!」

「何をそんなに驚いとるんや?」「いえ、別に…おやすみなさい!」

すたこらささっと春子さんから逃げる。部屋に入ってベットを覗く。キャサリンが気持ち良さそうに寝ている。

気持ち良さそうに寝てやがる

そっとキスをして、ベットに入って眠る


翌日、朝日が眩しくて目を開ける

横で寝ていた、キャサリンはもういなかった。部屋を出て居間に行く

「おはようございます」「翔さん、おはようございます」「おはよう」

「お〜す!」「あれ、キャサリンは?」「台所ですよ」「台所?」

「秋子さんに、郷土料理を教えて得てもらってますよ」「へー!」

どこの郷土料理だ?

覗いてみよー

「お兄ちゃん、命が惜しくないの!」「何だよー、命って!」「覗かないで下さいねって、言われてるの!」

秋子さんがそう言う時は、覗くと命にかかわることがあるからな

「判ったよ、ここでおとなしくしてるよ…」

しばらくボーとして居るとキャサリンに呼ばれる

「ダーリン」

ガン!

机で頭をぶつける。キャサリンはそれを見てキョトンとする

「キャサリン、誰にそう言えって言われた!」「秋子さんだよ!」「秋子さんに…」「うん♪」

台所に行き秋子さんを捕まえ聞く

「何で、あんなこと教えたんですか!」「あら、お気に召しませんでしたか?」

「そうじゃなくってー!」「いいやんかー、もう二人は夫婦なんやから、あっお茶」

春子さんは首に手を回しながら言う

「はい!」「もしかしてあなた〜て、甘い声で言って欲しかったのかなー?」

ゴン!

「あいた〜、何するのよ〜!」「あほな事を言うからだ!」

「翔さん、これを飲んで落ち着いて下さい」

秋子さんがジュースを出してくれたので、それを飲んむ

うげー! 何だ…これ?

「秋子さん…」「はい?」「なんですかこれ?」「ジュースですよ」

「それは見れば判りますよ、材料の方を聞いてるんです」「企業秘密です」「あ、そうですか…」

「御口に合いませんでしたか?」「合わないから聞いてんです!」

「あら、そうでしたか〜」「ダーリン、出来たよ」

「だから、その呼び方はやめろ!」「えー、どうしてー」

キャサリンは軽く上目遣いで見てくる

「あの…それはだな…」「たいした理由も無いのに否定するからや」

「元はと言えば、春子さんがいけないんですよ!」「私は何もしてないで」

「酒を飲ましてサインさせたでしょー」「あれは、自分でやった事やさかい」

「俺は…」「やっぱり、嫌だったんだ」

キャサリンは凄く落ち込む

「だー!」

キャサリンを抱えて部屋に入る

「はぁはぁ…」「嘘だったんだね…あのときに言った事も全部…」

「そんな事は無い! でも、あそこに居ると俺は…」

「俺は…ちゃんと自分の口から告白したかったんだ」「あんな形じゃなく、二人で出したかったんだ」

「翔さん…」「だから、今言うよー!」

キャサリンの肩を掴み、ジッと目を見る

「キャサリン…結婚してくれ!」

少し間を置いて、キャサリンは頷く。

「…はい」

そして、キャサリンは泣きながら抱き来る。それをやさしく抱きしめてやる

「皆の所に行こう」「はい…」

二人で皆の所に行く

「話はついたか?」「はい…」「ほれ」

春子さんは一枚の紙を差し出す

「これは?」「本当は出してなかったんですよ」

秋子さんが優しく微笑みながら言う。

「翔が本気で好きか、試したんや」「ほら、早く出して来い!」「おう! 行こうぜ、キャサリン!」

「うん!」

二人で家を出る



「まったく、世話の焼けるやっちゃなー!」「あら、その方が可愛いですよ」「私もそう思います」

「まー、あの二人なら心配無いでしょー」「それもそうやな」

「ねぇ、ご飯まだ?」「もう出来てますよ」「今日は何?」「イモリの丸焼きですよ!」

秋子はニッコリと笑いながら言う。

「イモリ…」「丸焼き…」「とても美味しいんですよ」「私…今日は、日直だったんだー」

「そや、朝から仕事やったんやー」「私は生徒の補修が…」

4人は慌てて家を出る

「私も…」「あら〜、冬子は食べてくれるわよね〜」

冬子はガシっと捕まる

「秋子、怒ってる?」「別に、怒ってませんよ」

ズリズリ…と引っ張られて冬子は連れて行かる。そのあと、冬子の身に何があったかはさだかではない



「これで終わりだな」「違うよ、始まりだよ」「そうだな」

そう言ってキャサリンの方を見て、ニッコリと笑う

「そうだよ。とっても幸せ…」

キャサリンは俺に体を引っ付ける

「俺もだ…」「あれ? あれって、春子さん達じゃない?」「本当だ〜、何してるんだ〜?」

目の前を走って行く春子さん達をが目に入る。

「春子さ〜ん、どうしたんですか〜?」

と声をかけるが、立ち止まる様子もなかった

「聞えてないみたいだね…」「そうらしいな」

そして、去ったとは嵐が過ぎ去ったかのように静まり返る

「行っちゃったね…」「そうだな…」

この時はまだ知らなかった、家に帰ると凄いものが待っている事を

「はい、ダーリン」「これからもよろしくな、ハニー」

二人で家に向かって歩き出す。二人で歩く人生の第一歩を

ーENDー


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