異世界 -第四章-
じりりりりり… ゴソゴソ…

「翔さんとキャサリンさん起きて下さい」

ゆっくりと目を開ける。

「秋子さん、おはよう御座います」「おはよう御座います」「やっと起きましたね」

秋子さんは目覚ましを止める。

「早くしないと、遅れますよ」『え!?』「何にですか?」「今日から二人で働くんでしょ?」

働く…は!

「そうでしたね!」「だから早く支度して下さいね」「判りました」「キャサリン起きろ」「ほぇ…?」

駄目だ。寝起きは悪いみたいだ

秋子さんがぬれタオルを渡してくれ、それでキャサリンの顔を拭く

「あ!おはよ御座います」「キャサリンさんも、早く着替えてー!」

秋子さんは着替えをキャサリンに渡す。

「はい、すみません迷惑かけてしまって…」「そこに出してありますからね」

そう言って秋子さんは出て行った

「先に着替えていいぞ」「うん!」

先にキャサリンが着替えて、そのあとで着替えをして部屋をでる

「おはよう御座います」「朝から二人で登場かい?」「お二人とも、急いでほしいんですけど…」

「判ってます」

トーストに噛つく。

「それでは、行きましょうか〜」『いってきますー!』

冬子さんについて家を出る。


「ここで少し待てて下さい」「判りました」

しばらくすると、冬子さんの愛車エボWがやってくる。

「乗って下さい」

乗り込んで、バイト先に向かう。

「すごいよ、景色が流れていくよー」

キャサリンは子供のようにはしゃぐ

「そうか〜、あっちの世界だと車なんて物無いもんな」「うん♪」「どうだ、初めて乗った感想は?」

「とっても楽しいね」「そうか…」「うん♪」

キャサリンは嬉しそうに頷く。

「着きましたよ」

バイト先についたので、車から降りる。

「私はこれを止めてきますので、この鍵で中に入って準備をしといて下さい」「判りました」

冬子さんから鍵を受け取って中に入る。しばらくして冬子さんが入ってきた

「あけますよー」「お願いします」

冬子さんは、札をひっくり返す。

「まずは、何をすればいいんですか?」「掃除をお願いします」「判りました!」

「掃除なら、私がやります!」

キャサリンは掃除を始める。

「俺は何をすればいいんですか?」「裏の材料をここに運んできて下さい」「判りました」

勝手口から出る

えっと…どこだー?

あたりを見渡して探す。

お、あったあった!

運ぼうとした時に、道端に誰かが倒れているのに気が付く。近くに行って声をかけてみる

「大丈夫ですか?」

その人はゆっくりと顔を上げる。その人はシュルさんだった。

「大丈夫ですか!」

シャルさんをおんぶして店に戻る

「冬子さん」「何ですか?」「この人に何か食べさせてあげて下さい」「あら〜大変!」

冬子さんとキャサリンは、慌てて駆け寄ってくる。

「シャルさん!何でここに居るの?」「俺にもさっぱりなんだ」「とりあえず、何か作りますね」

冬子さんは慌ててキッチンに戻って行く

「よろしくお願いします」

椅子に座らせ。コップに水を汲んでシャルに飲せる

「出来ましたよ…」「シュルさん確りして下さい」

シュルはゆっくりと目を開ける

「良かった〜気がついて〜」「翔…」

シュルは掠れた声で言う

「とりあえず、これ食べて下さい」「すまない…」「気にしなくていいですから」

シャルは出されたものを食べ始める。裏に行ったキャサリンの所に行く

「涎が出てるぞ!」「え!?」

キャサリンは慌てて涎を拭く。食材を中に運び込んみはじめる。

「終わりましたよ」「ありがとう御座います」「ところで…シュルさんなんでここに居るんですか?」

「お前たちを追いかけて来たんだ」「何でまた〜」「翔! お前は何でキャサリンまでつれ来たんだ!」

「え? いや…これには深い事情がありまして…」

シュルに事情を説明する

「なるほどー。キャサリンが勝手に着いてきたと…」「はい…」

「で、かんじんの本人はどこに居るんだ?」「あれ?どこに行ったんだ?」

あたりを見渡す。裏の入り口の所から、こっそりとこっちを見ているキャサリンに気がつく。

キャサリンは、必死に言わないでといった動作をする

「居たのか?」「え? 居ませんねー」「そうかー」

シュルは、水の入ったコップを眺める。

「キャサリンが居たら、どうするつもりだったんですか?」「それはもちろん! つれて帰る!」

「帰り方を知ってるんですか?」「無論だ! そうでないと来ないだろ?」

それもそうか…

「もしも、キャサリンが帰るの嫌だって言ったら、どうするんですか?」

「それでも連れて帰る!」

ちらっとキャサリンの方を見る。キャサリンはすごくおびえている。

「どうしてそんなに、連れて帰りたかがるんですか?」「それは決まっている、収穫をする奴が居ないかだ!」

シュル立ち上がりながらそう叫ぶ。

ガク!

「あはははは…」

カランカラン…

「秋子さん」「二人とも頑張ってますか?」「はい、見ての通暇ですけど…」

「あら? キャサリンさんは、どこに行ったのかしら?」

秋子さんは、すぐにキャサリンに気がつく

「翔さん、そちらの方は?」「私は、シュルと申します」「私は、秋子です。宜しく」

「こちらこそ宜しく」「秋子さん仕事はいいんですか?」

「今日はお休みなので、二人の様子を見に来たんです」「コーヒーでも飲みますか?」

「そうですね。いただきます」

冬子さんは、コーヒーを入れ始める。

「仕方がない! 他を探してみることにする…」

そう言ってシャルさんは出て行く

「キャサリン…。もう出てきてもいいぞ!」

キャサリン顔を出して、辺りを見渡す。

「何で隠れる必要があるんだ?」「だってー、シュルさん怖いんだもんー」

キャサリンは、今にも泣きそうな顔で言う。

「そうなのか?」「うん…」「残りたいと言えば、大丈夫ではないかしら?」「そうですか?」

「コーヒーが入りましたよ」

冬子さんは、秋子さんにコーヒーを出す

「冬子、ありがとう」「俺もそう思うぞ」

ドアの方になにやら気配を感じ、みて見てみるとシャルさんが居た

冬子さんにコーヒーを入れてもらい、それを飲んでいるキャサリンツンツンと突っつき、ドアの方を指差す

キャサリンはえ?っとそっちを向いて、そこに居るシュルを見てコーヒーカップを床に落とす。

「どうしたの? あら、先ほどからあそこに居ましたよ」

気づいてたんですか! 秋子さん!

シュルがゆっくりと中に入って来る。

「キャ〜サ〜リ〜ン〜!」「はっはい…」

キャサリンはカチンと固まる。

「ここに居たいの? 居たくないの? どっち?」「あの…その…」「どっちなの!」

「そんな聞き方したら、言いたいことも言えませんよー」

秋子さんは優しく微笑みながら言う。

「それもそうね…」「キャサリンさんは、ここに居たんでしょ」「はい…」

秋子さんの言葉に、キャサリンは頷く。

「なら居てもいいわよ」「え? 本当ですか!」「本当よ、また新しい人を探さないとわね」

「すいません…」

キャサリンは、申し訳なさそうな顔をしながら頭を下げる。

「誤ることじゃないわよ」「良かったですね。キャサリンさん」

冬子さんがニッコリと笑いながら言う。

「それでは、私は帰りますね」

シュルが出て行く時、そっとキャサリンに耳打ちをする。そのあと、キャサリンは顔を紅くする。

何を話したんだ?

「また、様子を見に来るからな!」

シュルは、そう言って店を出て行く。

「それにしても、お客さん来ませんねー」

キャサリンはさっきと打って変わって、能天気にそう言う。

それはそうだろー、あれだけ騒いでれば

カランカラン…

「な、言った通だろ」「ああ、本当だな」「可愛いじゃん! あの子」

キャサリン目当ての客か?

「いらっしゃいませ〜。何名様ですか?」

「3人だけど」「では、こちらに」「あの子、美味くやってるわね」「そうですね」

「オーダーです」「はい!」「翔さんも、うかうかしてられませんね」

秋子さんはにこやかに笑いながら言う。

カランカラン…

「いらっしゃいませ〜!」「4人だけど…」「こちらにどうぞ」

席に案内する

「イチゴサンデー」「鯛焼きは無いの?」「ちょっと待てて下さい」

冬子さんのところに行って聞いてみる

「た、鯛焼きですか?」「そうなんです…」「私なら出来ますよ」「じゃあ、お願いします」

「判りました」

秋子さんは、エプロンを取り出して厨房に入る。

「他に何かありますか?」「肉まん!」「かしこまりました」

「こんどは、肉まんお願いします」「判りました!」

しばらく待っていると、確かに鯛焼きと肉まんが出来上がってきた

「お待たせしました〜」「鯛焼きだ〜!」「にっくまーん」「翔さ〜ん…」「はーい!」

呼ばれて、冬子さんの所に戻って行く

「イチゴサンデーできましたよ」「判りました」「イチゴサンデーです」「以上でお揃いでしょうか?」

「はい」「ではごゆっくり」

そう言って冬子さんのところに戻る。

「翔さん、聞きたいんですけど」「何ですか?」

「この伝表のここなんですけど、何て書いてあるんですか?」「ちょっと貸して下さい」

伝表を受け取って見てみる。

なんじゃこりゃ…何処の言葉だよ?

「キャサリン」「何ですか?」

キャサリンを呼びつける。

「これ何て書いてあるんだ?」「それは、1です!」「じゃ〜これは?」「2です」

「これは〜?」「3です」

さっぱり判らん…。うーん…どうしたものか

「あら、これなら私が読めますよ」

秋子さんは、笑いながらそう言う

あんた何者なんですか?

「秋子さん、お願いします」「はい」

秋子さんはにっこり笑いながら言う。そのあとも仕事を頑張って、札をCLAUSEにする。

「だ〜疲れた〜」「お疲れ様です」「楽しかったね」

キャサリンはえらく元気だなー

「みんなで夕飯の買い物に行きましょー」「そうですね、しばらく待てて下さい」

冬子さんは出て行く

「秋子さん」「はい?」「昨日キャサリンと、なに話してなんですか?」

「翔さん! 女の子の秘密を知りたがってはいけませんよ」

秋子さんは真剣な顔で言う。

「そうですか…」「お待たせしました」「わ〜い♪ 帰りもあれに乗れるんだ〜」

キャサリンは嬉しそうにはしゃぐ

車に乗ってスーパーに向う

「翔さん…」「ん? どうした?」「家はあっちだよ」「これでいいんだよ」「でも、家から離れていくよ」

「今から買い物に、行くんですよ」「買い物ですか!」「そうですよ」

しばらくして、スーパーに着く

「ほぇー! 何ですかこれ?」「向こうで言う、市場みたいなものさ」「ほぇー、これがこっちの市場ですか〜」

キャサリンはすごく驚いている

「おいー! おいて行くぞ〜」「待ってよ〜」

4人で中に入る

「ほえ〜」「さっきからそればっかりだな…」「だってね! だってね!」

「すごいからって、言いたいんだろ?」「うん!」「冬子さん、今日は何を作るんですか?」

「今日は、秋子が作る番ですから〜」「秋子さんが? それは楽しみだなー」

「秋子さんって、料理美味いよね」「ああ…ってなんで知ってるんだ?」

「さっき見たから」「そっか。キャサリンはどうなんだ?」「私も上手だよ!」

「そうだわ、キャサリンさん一緒に作りませんか?」「いいんですか?」

キャサリンは目を輝かせる。

「ええ、二人で作った方が早くすみますしね」「楽しみにしといてね」

キャサリンは俺の方を向いて、ニッコリと笑う。

そのまま買い物を続ける。キャサリンにいろいろ聞かれたが、秋子さんがすべて答えてくれた

会計を済ませて店を出る

「何で、俺が持つんですか…しかも、こんなにたくさん…」「あら〜、そうですね」

「そこの車までですから、頑張って下さい」「判りました!」

俺も男だ…やってやらー!

意地で車で運ぶ。帰りの車で、キャサリンは俺に寄りかかり眠る

「あらあら…今日は頑張りましたからね」「そうですね…」

キャサリンの髪を整えてあげ

「お疲れさん」

と呟く。



「翔さんはキャサリンさんを、部屋に運んであげて下さい」「でも荷物が…」

「荷物のことは、良いですから」「そうですか? お願いします」

キャサリンをおんぶして、部屋まで運んで別途に寝かせる

まったく無邪気な寝顔だなー。

それを見てふっと笑う。

さて、俺は居間でテレビでも見るかー

そっと立ち上がり、部屋を出ようとした時にキャサリンに服を掴まれる。

ん? 起きたのか? なんだ…まだ寝てるじゃないかー

キャサリンの手を外そうとしたが、外れなかった。

ドアのところから、誰かに見られてる気がした

多分繭だろー。まったく物好きは、これだから困る

「コラー! 貧乳娘! 覗くんじゃない!」「誰が貧乳ですってー!」「やっぱりお前か〜」

呆れ顔で繭を見る。

「あ!」「これだから、単細胞は扱いやすくていいよなー」「単細胞!」

「翔さん、ご飯で来ましたよ」

秋子さんがドアの所から顔をだす。

「はい、判りました」「何をしてるんですか?」

キャサリンに摘まれているとこを指差す。

「あらあら…それは大変ですね。そうですわ、ここに運んできましょうね」

「お願いします」「繭ちゃんも行くわよ」

そう言って、秋子さんは行ってしまう。繭は行く時にベーとしていく。

しばらくして、秋子さんが料理を持って戻ってくる。

「翔さんの分ですから、食べて下さい」「ありがとう御座います」

「キャサリンさんの分は、起きたらレンジ暖めますから、言って下さいね」「判りました」

秋子さんから夕飯を受け取った

「食べ終わったら言って下さいね」「判りました」

もしかして、匂いにつられて起きるとか無いよなー?

キャサリンの方をそーと見てみると、気持ち良さそうに眠っている。

よし寝てるな

「いただきます!」

さてと、どれから食べようかなー?

迷っていると後ろから声がした

「翔さんだけずるいよー」「どわ〜!」「一人で食べるなんて、ひどいよー!」

「ひどいって…キャサリンが俺服を握って離さないから、秋子さんここまで持ってきてくれたんだ」

「そうなの?」

キャサリンはキョトンとする。

「今も握ってるぞ!」

そこを指差す。

「え? あ!」

キャサリンは慌てて離す

「秋子さんに伝えてくるから」「ごめんね…」「もういいから」「う〜」

食いかけを持って台所に行く

「秋子さん」「はい?」「キャサリン起きましたよ」「あら、そうなの」

秋子さんは電子レンジのスイッチを入れる

食いかけをテーブルに置いて、キャサリンを呼びに行く

「キャサリン…」

そう言いながら部屋に入ると、またキャサリンは眠っていた

「起きろー」

キャサリンをゆすったが起きない

さっきのは、寝ぼけてたのか?

キャサリンをおぶって台所に行く

「あら〜、また寝ちゃったの?」「そうみたいです」

キャサリンを座らして、自分も座る

「出来ましたよ」

秋子さんは、キャサリンの前に並べる。

「ほぇー?」

起きたかな?

「あれー? ここどこー?」

まだ寝ぼけてる

「キャサリン、ご飯だぞ」「え? ご飯?」「いらないのか?」「食べる! 食べる!」

「あれ?」「さっ食べてみて下さい。お口にあえばいいですけど」

「これ秋子さんが作ったんですか!」「ええ…」「すごいですね」

「そんなことは無いですよー」

秋子さんは照れくさそうに言う。

「いただきます」

キャサリンは一口食てみる。その光景をじっと見詰る

「美味しい!」「ま〜、それは良かったわ」

秋子さんはすごく嬉しそう言う

「そうだわ、冬子から伝言があったの」「何ですか?」「明日は休んでもいいそうよ」

「本当ですか!」「今日、あれだけ働いたんですもの」「翔さん! 翔さん!」

キャサリンは、手をブンブン上下に振りながら言う

「どうした?」「あそこ行きたい!」

キャサリンはテレビでやっている、遊園地の特集を指差す。

「遊園地に行きたいのか?」「うん!」「あら、デートにはちょうどいいわね」「で、デート!」

「デートって何ですか?」「それはね…」「明日行こうな! 絶対に行こうな!」

「そんなに慌ててどうしたの?」

キャサリンは不思議そうに見る

「あ!」「あらあら…。翔さんって、照れ屋さんですね」

「もう、秋子さんが変なこと言うからです!」「あら、そうかしら」「明日行くんだよね!」

「ああ、行こうぜ」「やったー!」「二人とも早く食べないと冷めますよ」

夕食を食べる

「ご馳走様でした」「ご馳走さん」「お粗末さまでした」「お風呂行こ〜」「今日は一人で入れよ」

「えー! 昨日は一緒に入ってくれたのに…」「あら、そうだったの? 翔さんって大胆なんですね」

「昨日は、あの…その…」「判ってますよ」

秋子さんはにこやかに笑う。

「行こうよ〜」

キャサリンはそう言って、俺の腕を引っ張る。

「判ったよ…」「先に行ってるね」「ああ…」

キャサリンは先に風呂場に向かって行く

さて、俺はテレビでも見るか

「翔さんは…行かないんですか?」「行きません!」「あら、嘘をついたんですね?」

「男と女が一緒に入るってこと事態おかしいんですから!」「ぐじぐじ言ってないで行ってやらんかい!」

「どわ〜!」

気が付くとそばに春子さんが居た

「ささっと行け〜!」「判りましたよ!」

ぶつくさ言いならが、風呂場に向う。服を脱いで中に入る

「翔さん…?」「遅くなって、悪かったな…」「ううん、そんなことないよ」

湯船に入る

「は〜、気持ちがいいなー」「ねぇ、明日行くところって楽しいのかなー?」

「ああ、すごく楽しいぞ」「本当!」「ああ、きっと驚き連続だと思うぞ!」

「楽しみだなー」「さて、俺は先に洗うから」「昨日みたいにやろー」「仕方がない、やるかー」

「やったー♪」「でも、今日だけだぞ!」「えー! どうしてー」

「普通は、男と女が一緒に入るなんて、おかしい事なんだぞ!」

「でも、秋子さんはこれが当たり前だって、言ってましたよ」

秋子さん…あなたはいったい何をふきこんでるんですか

第五章に続く


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