不運

何時ものように、朝起きて学校に向かっている時、前を歩いている水月と涼宮に気がつく。

「お〜い…」

そう言いながら駆け寄って行く時に、風が吹いて二人はスカートを必死に抑える。

おお〜! 水月は白か〜。ん? ちょっと待て…見たって事がばれたら…確実に水月に殺されるな。

水月が振り向き、赤い顔でこっちにやって来る。

「今見たわね!」「え!? 見てない見てない…」

顔の前で手を振る。

「見たわよねー! 大体、この位置に居て、見なかったなんて言い訳が通ると本気で思ってるの!」

「本当に…見て無いんだって。とっさに目をそらしたから…」

水月は疑いの眼差しで見た後で溜息をつく。

「判ったわ! 信じてあげる」

それを聞いて、ホッと肩を撫で下ろす。

ホッ何とか誤魔化せたみたいだな。

「ねえ、遙の色って何色だった?」「ん? ピンク……あ!」

「やっぱり…見てたのねー!」「ま、待て…俺だって見たくて…」「一回…死んで来〜い!」

ドコン!

「アギャ〜!」「勝手に見た罰よ! これくらいですむんだから、感謝しなさい! 遙、行くわよ!」

「う、うん…」

涼宮は後ろを振り返りながら、水月と一緒に学校に向かう。



「水月…大丈夫? 顔が赤いよ…」

遙は心配そうに見詰る。

「え! ああ…大丈夫よ! こう見えても、最近は風邪なんてひいたことないから!」

「速瀬が風邪をひいた時は、槍か隕石が降るぞ。きっと!」「た、孝之君…それは言いすぎだと…」

孝之に向かってソフトボールを投げる。ソフトボールは孝之の頭にあたり、その場に倒れる。

「わー! 孝之く〜ん!」「自業自得よ!」「風邪じゃないとしたら、何なんだ?」

「え! べ、別に何でもないわよ…」

赤い顔をしながら言う。

「もしかて、恋の病だったりして!」

孝之のその発言に、ボッと顔を赤くする。

「え? 水月…そうなの?」「また〜、何を言うのよ〜!」「ま、速瀬が好きになった奴は、災難だな〜」

「え? どうして?」「そうだろ。こんな暴力女を…」

グギ!

「誰が…暴力女…ですって! ウリャウリャ!」

孝之にコブラツイストを決める。

「じゃあ…水月は好きな人は居ないの?」「え…」

遙の発言に顔を赤くしながら、孝之をグイグイと締め付ける。

「ギブ! ギブ!」

ボキ!

「あ…!」「え!?」「折れ…ちゃった…」「えー! 孝之く〜ん!」

「大丈夫よ。人間はそう簡単には死にはしないわ!」「あの〜、どちら様ですか?」


ーENDー



 戻る  本編へ