ピンポーン!
『はーい…』
ゆっくりとドアが開き、おじさんが顔をだす
「こんばんわ…」「おや、美穂ちゃんじゃないか。こんな時間に何か用事かい?」「忍君…居ますか?」
そう聞いた時、一瞬だけおじさんの顔がけわしくなる
「出かけてるよ」「そうですか…。あの…一つ聞いても良いですか?」「何かね?」
「何処に行ったか判りますか?」「すまないねー。それが判らないんだ…」
おじさんは申し訳なさそうな顔をする
「そうですか…そうですよね…」「美穂ちゃん?」「話したんですよね?忍君に全部…」
それを聞いたおじさんは、驚きもせずにじっと黙った私を見ている
「そうだ…」「でも、正直に話してませんよね…。あれは、おじさんが…」「言わないでくれ…それ以上は…」
おじさんは下唇を噛み締めながら俯く
「お邪魔しました…」
それだけ言うと、忍を探しに走りだす
ベンチに座り、肩を落としながら下を見詰める
何だよ…俺が殺しただと…。この手で…それもあっさりと…
「馬鹿げてるよな…本当…」
自分の手をじっと見ながら不敵に笑う
「こんな所に居た…」
顔を上げると、美穂が息を切らせながら立っている。黙って立ち上がり、その場から立ち去ろうとする
すると、美穂はすばやく前に回りこむ。向きを変えまた歩き出すと、美穂が前に回りこむ
それから、何度も同じ動作を繰り返す
「何だよ!」「何よ!どうして、私を避けるのよ〜」「お前には関係のない…」
それだけ言って反対方向に歩き出した時、腕を捕まれる
「関係ある!」「ないね!」「ある!」「ない!」
腕を振り解いた瞬間、頬を叩こうとするがそれを受け止める。次の瞬間、体が宙に浮きあがる
え…?
そのまま地面に叩き付けられる
「あいだ!」「どう?」
美穂は不適に笑いながら俺を見下ろす
「お!熊のワンポイン…。幼稚だな〜」「な…」
美穂は慌ててスカート抑え、顔面を踏みつけようとするが、横に転がって避ける
体制を立て直して、美穂の方を見て絶句する。美穂は、片手で外灯を適度な長さに圧し折る
「に、人間かー。あいつは…」
美穂は、外灯を俺目掛けて投げつける。寸前の所でそれを交わすと、美穂は後ろに回りこんでそれをキャッチする
に、逃げよう…殺される
走りだすと、美穂がブンと外灯を振ると、地面が数十メートル位が抉り取られて断崖絶壁になる
後ろを振り返ると、美穂がゆっくりとこっちに歩いて来ている
少し後ろに下がり、助走をつけて一気に飛ぶ。美穂は、その瞬間に合わせて外灯を投げる
外灯は、ズボンに突き刺さり、そのままビルの壁に貼り付けられる
背中にとても冷やかな、鋭いさっきを感じる。ゆっくりと後ろを振り返ると、美穂がニコニコと笑いながら立っている
「や、やぁ…」
美穂は、笑顔のまま背中を殴る。その衝撃で壁がへこみ、骨が折れる音がする
顔の上のハンカチのける
「やっと気が付いた?」「ここは…?」「公園!」「そっか…」
体を動かそうとすると、全身に激痛がはしる。手で目を覆う
「用事は何だよ?」「うん…話があるの…」「はん…。話がしたいだけで、あんなことしたのか?」
腹に肘内を食らう
「ぐふ!」「誰が…」
肘をグリグリと動かす。パンパンとベンチを叩く
「で、話ってのは?」「おじさんから、聞いてないことがあると思って…」「はぁ?聞いてないこと?」
「そう…」
美穂は寂しそうな表情をする
「俺が、人殺しだってことだろ?」「確かにそうなんだけど…それには訳があるのよ」「訳…?」「うん…」
美穂は、寂しげな表情を浮辺ながら頷く
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