秘密の花園 第一章

「おはよ〜って言っても誰も居ないんだっけ…」

眠い目を擦りながらそう呟く。頭を掻きながらトースターをセットして顔を洗いに行く

戻ってきた時に、焼きあがったパンがでてくる。それをさらに移して、冷蔵からバターを取り出して塗る

椅子に座り、テレビの電源を入れる。それをボーっと眺めながら、パンを食べる

食器などを片付けて、街へとくりだす。別にこれといって予定も無く、ただぶらぶらとする

あ!学校に来いって、親父が言ってたっけ…。えっと…何処だっけか?

悩んでいる時、路地から声が聞こえて来る

『嫌です!どうして、ボクが貴方達みたいな人と…』『別に変なことはしねーよ』

ん…?この路地から聞こえてきた気が…

『離して下さい!ボクは…』『譲ちゃん…おとなしくしろって…』『嫌です!』『痛くししねーからよー』

「はいはい…そこまで!」

パンパンと手を叩きながら、男二人組にゆっくりと歩み寄る

「何だお前は!」「俺?俺はただの通りすがりだけど…」「だったら、すこんでろ!」

男の一人がこっちを睨み付ける

「あ〜そうもいかないんだよね〜。聞こえるでしょ?」「あん?」

サイレンの音が次第に大きくなる

「ま、まずいぜ!」「ずらかるぞ!」

そういって、男共は逃げ出す。それを笑顔で手を振りながら見送る

「馬鹿な奴ら…」

ポケットからプレイヤーを取り出し、停止を押す

「大丈夫?」「は、はい…」

女の子はポカーンとこっちを見る

「ん…?俺の顔に何かついてる?」「え!?いえ…有難う御座います」

そういってぺこりと頭を下げる

「今度から気をつけなよ。じゃあね」「あの…」「何か用事?」「えっと…何かお礼を…」

「別にいいよ…たいしたことしてないし…」

苦笑いを浮かべる

「でも、ボクの気持ちが…」

そういって、まっすぐこっちを見る

弱ったな〜。別に何も…あ!

「君さ〜」「はい?」「光葉…知ってる?」「知ってますけど…」「良かった〜」

ほっと肩を撫で下ろす

「そこに行きたいんだけど、道案内を頼んでも良いかな〜?」「はい。解りました」

女の子は笑顔で頷く

「あ、そうだ!俺は…」「矢島…忍ですよね?」「え!?」

初対面の子に、自分の名前をズバリ言い当てられて困惑する

「覚えてない?ボクの事…」「え…」

じーっと女の子を見る。ポッと頬を紅くする

「あ、ご、ゴメン…」「うふふふ…ボクは、桜井徹だよ」

そういって、あどけなく笑う

「桜井…徹……。あ〜!」「思い出した?」「ああ…久しぶりだな…」「そうだね…」


「ここがそうだよ」「へぇ〜」

口を半分開けた状態で、学園を見上げる

「入り口はこちらです」「あ、はい…」

女の子の後をついて行くと、入り口の所に蓮さんが立って居るのが目に入る

「あ!忍さん…」「どうも…」

蓮さんはこっちに駆け寄ってくる

「お知り合いですか?」「まぁ…」「心配したんですよ。そちらの方は?」

横に居る女の子を見ながら言う

「先ほど、危ない所を助けてもらったんです。それのお礼を兼ねて…」「そうですか」

「ところで、用事って何?」「はい。お話は中で。えっと…」「始めまして、桜井徹です」

「私は、牧村蓮です宜しく」

徹は蓮さんに頭をさげる

「お〜徹ちゃんじゃないか〜」「あ、理事長…」

蓮さんは親父に向かって御辞儀をする

「親父…知ってるのか?」「知ってるも何も、幼児期に四人で遊んでただろう…」

「四人…だっけ?」「さ、積もる話もあるでしょうから、中へ…」

校舎の中に入る

第弐章へGO!


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