脱走
ピピピピ……

ん〜

ごそごそ…カチ!

起き上がって、部屋のカーテンを開け、窓を開ける。

「おはよう!武ちゃん!起きてる〜?」

って、少し前までは言ってたんだよね…。でも、武ちゃんは冥夜と…

ジーと武ちゃんの部屋を眺める

「よっ純夏!元気か?」「え…!?」

慌てて後ろを向く

ど、どうして…武ちゃんが居るの?

「おーい…純夏〜」

これは、きっと幻だね。

「聞えてるんだろ…?」

だって、武ちゃんは今ごろ冥夜と…。

「おい!」

武ちゃんはむっとした顔で、手近にあった辞書を手にとって、私目掛けて投げる

後頭部に辞書があたる

「なにすのさ〜!」「無視するお前が悪い!」「だって…」

少し下を向く


「白銀君…?彼は…え!?脱走したの?まったく…何を考えてるのかしら…」

「…白銀なら、そこで焼きそばパン食べてた」

パタパタ…

「武さんがどうかしたんですか?うにゃ!」「武〜?そういえば、武が居なくなって、寂しくなったね…」

「白銀…君…?あ〜千鶴のクラスに居た問題児ね。それがどうかしたの?へー、逃げ出したんだ〜。やっぱりね」


「ねぇ…なんで、武ちゃんがここに居るの?」「あ〜、それか。逃げ出して来た」

「それは駄目だよ…だって、武ちゃんは…」「冥夜の…婚約者…か?」「う、うん…」

武ちゃんはふっと笑う

「疲れたんだ…」「え!?」「秒単位で管理されたスケジュールだろ。さすがに疲れたんだ…」

「でも、武ちゃんはそれを承知で…」「もちろん、それくらい覚悟は出来てさ」

バタン!

「た〜け〜る〜さ〜ま〜」「ゲッ!真那さん…どうしてここに…」「武。あまり月詠に迷惑をかけるでないぞ」

「あ、純夏様。お元気そうで何よりです」「鏡、しばらくだったな」「う、うん…冥夜もそうだね」

「うむ!日ごろの鍛錬の賜物だ!」

真那さんが手を数回叩くと、物凄い物音とともに三バカが入って来て、武ちゃんを連れて行く

「鏡様…失礼いたします」「さらばだ、鏡」「うん……さようなら」

元気なく手を振る

そうだよね…もう忘れないといけないんだよね。武ちゃんに対する気持ちを

「あ〜!遅刻だよ〜。もー武ちゃんの馬鹿〜!」

慌てて着替えて部屋から飛びだし、トーストを口にくわえながら学校に向かって走る

ーENDー



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