サイズ

「それでね。孝之がね、画面でボールを止めるだもん。笑ったわよ」「ええぇぇ…。孝之君…大丈夫だったの?」

「心配要らないわよ。少し、鼻血を出してけど…」「そうなんだ…」「あ、これ」

鞄から封筒をとりだして遙に渡す

「有難う…」

遙はそれだけ言うと、足早に部屋へと向かって行く。途中の階段で躓き、額をぶつける

それを見て、必死に笑いをこらえる

しばらくして、遙が戻ってくる

「水月。お茶のまだ飲む?」「そうね…」「新しいの入れてくるね」「うん。お願い」

遙はティーセットを持って、台所へと消えて行く

「ただいま。あら、速瀬さん。いらっしゃい」「お邪魔してます」

ソファーから立ち上がり、遙ママに御辞儀をする

「たっだいま〜!あ、水月先輩」「相変わらず元気ねー」「はい!」

茜は笑顔で答える。遙ママは台所へ、茜は私の隣に来て座る

「最近、調子はどう?」「ぼちぼちです…」「茜のぼちぼちは、あてにならないし…」

そういって笑う

「あー!酷いですよー」「ところで、茜」「はい?何ですか」「何しに行ってたの?」

「制服を買いとかを買いに行ってたんです」「え!?もう、小さくなったの?」

茜は首を横に振る

「胸が…苦しくなって…」「胸…?」「はい…」

茜は紅い顔をしながら俯く。それを聞いて、茜の胸を揉んで確かめる

「キャッ!な、何するんですか…」「本当ね…大きくなってる…」

そういいながら、茜の胸を揉んで確かめる

「やめ…て下さい…。じゃないと…」

茜は手を伸ばして、私の胸を掴む

「あ、茜…」「お返しです…」

茜は私の胸を揉み始める。しばらく、二人で胸をもみ合う。我に返えると、遙が呆然と立ち尽くしていた

「えっとね…これはね…」「そ、そうだよ…別に、そっちの趣味じゃないよ…」

二人で慌てふためく

「うん…解ってるよ。水月、どんな趣味があっても、私達は親友だよ」

遙はどこか遠くを見据えながら言う

「ちょ、ちょっと…遙ー」「お、お姉ちゃん…しっかり…」


「でね、茜が胸が大きくなったって言うから…」「それで、私がお返しに…」

「そうだったんだ…私はてっきり…」「遙…」「お姉ちゃん…」

茜と一緒に遙ににじり寄る

『何処で知ったの?』「え…あ…えっと…」

遙は紅い顔をしながら俯く

「それにしても、茜の成長の早さには驚くわねー」「そうですか…?」

「そうよ。このままだと、遙なんて簡単に抜かれるわね」

そう言って遙の方を見ると、遙は自分の胸の大きさを確かめていた後で、この世の終わりの様に落ち込む

「は、遙…。だ、大丈夫よ。茜だって、これ以上は大きくならないかもしれないし…ねー」

「あ、はい…。だから、気にしなくても…ね?」「そうだけど…。やっぱり、孝之君も大きいの好きかなー?」「え…」

遙の問い掛けに困る

「大丈夫よ。世の中は、いろいろな趣味の持ち主が居るから…」「そ、そうだよ…」「でも…」

遙はさらに落ち込む。目で茜に『テレビをつけてと』ウィンクする。それを見て茜はテレビの電源を入れる

画面がぼんやりと明るくなり、ドラマが映し出される

『やっぱりさ〜。サイズは大きいのに限るよなー』『そうだな。こう…埋もれるくらいにな…』

「わー!」「け、消して!」

慌ててテレビを消す

「あら、どうしたの?」「あ、お母さん。お姉ちゃんが落ち込んじゃって…」「あらあら…」

遙ママは遙を台所へ連れて行く

「何をするんでしょうか?」「私…そろそろ…」

そういって立ち上がり、帰ろうとした時に腕を掴まれる

「帰る…なんて言いませんよね?水月先輩…。私、信じてますから。水月先輩はそんな人じゃないって…」

茜は笑顔でそういうが、腕を握った手にはかなりの力が入っている

しぶしぶと、茜の横に座る。そして、開放されたのは正午だった…。


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