戻らない記憶 -第四章-
明かりもつけずに、ベットに倒れこんだ

俺って馬鹿だよ〜、一番大切な人のことを、なにも考えてなかったんだから

今度から、桜にどんな顔して会えばいいんだよ〜

桜に会う権利が、今の俺にあるのか…

そんなの、あるわけないよな〜

桜を傷つけた、張本人なんだから

そのまま、いろいろと考えた

結局、答えは出なかった

俺は何がしたいんだ、桜に何をしたやれるんだ

俺はどうするべきなんだ

天井を眺めた

そう言えば、桜は『あの日のこと覚えてる?』て言ってたな〜

あの日…

その日に、俺は何をしたんだ〜!

今の俺には判らない、今の俺には…

ゆっくりとドアが開いた

「孝弘…」「桜…」「さっきはごめんね」「誤るのは俺の方だろ〜」「孝弘…まだ思い出さない…」

「あの日のことか?」

桜は静かに頷いた

「すまない、まだ思い出せないんだ」

俯きながら言った

桜に優しく抱きしめられた

「孝弘…」「桜…」「あのね、今日は私の両親の命日だったの…」「そうか〜」

「それでね、あの日でもあるの…」

あの日、俺には判らない日

「私ね、両親が事故で死んだ時に、自分も死のうと思ったの…」「でも、それは出来なかったの…」

「なんでか、判るでしょ…」「俺がいたから…」「そう、隆弘がいなかったら今の私は、ここにはいなかったと思うの」

「あの日、私は気が狂っってしまったの」「でもそんな私を、支えてくれてたは隆弘なんだよ」「……」

俺がそんなことを…

「孝弘には、すごく感謝してるんだよ…」「私に、生きる希望をくれたんだもん…」

桜の顔を見てみると、涙が流れていた

そっと涙を拭いてやった

「孝弘…」

桜を強く抱きしめてあげた

「さっきはすまなかった…」「忘れてたとわいえ、俺は最低なことしたんだよな〜」「すまなかった…」

「もういいよ〜、孝弘の気持ちはいたほど判るから…」「もう一人じゃないぞ。俺がそばに居てやるから」

「あの時と同じこと、言ってるよ」「浜辺で、隆弘が抱きしめて言ったことと…」「そうか〜、そうだったな」

「孝弘…」「全てを思い出せたわけじゃないけど、大体のことは思い出しよ〜」

「桜との思いで、過ごした日々…」「まだ、虫食い状態だけどな…」

苦笑いしながら言った

「私は、それでもいいよ」「もう、思い出さなくても…」

「どうして?」「これから、また作ればいいんだから…」

「そうだな」「私、帰るね」「ああ、また明日な」「うん」「飯、一緒に食べような」

「うん、バイバイ」「またな」

手を振りながら見送った

これから、桜との新しい思いでを作らないとな

ゆっくりと、目を閉じた

おやすみ…桜
ーENDー


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