後輩
は〜、今日も疲れたわねー。

肩をコキコキと鳴らしながら歩いている時

「水月先輩〜!」

この声は…まさか!

振り返る暇も無く抱きつかれる

「水月先輩! 一緒に帰りましょ?」「あー! もう、暑苦しい!」

そう言って振り払う

「水月先輩! 帰りに、餡蜜でも食べましょう! きっと、冷たくて美味しいですよ!」

この子って…とことん、マイペースなのよねー

肩を落としながら、トボトボと一人で歩きだす

「やっぱり…カキ氷の方が良いですか? それとも……あ! 待って下さい…」

急いで走って来て、横に並ぶ

「水月先輩?」「何…?」「餡蜜とカキ氷どっちが好きですか?」「悪いんだけど…今日はそんな気分…」

「やっぱり、こんな暑い日はカキ氷ですよね! うん! 絶対にそうです!」

また勝ってに、話を進めてるわ。誰か…この子を何とかして

「さ、水月先輩! 行きましょう」「もう好きにして…」

もう抵抗をする気も無くなり、引っ張られるがままに歩く


「うーん! やっぱり、冷たく美味しい〜! あれ? 水月先輩は食べないんですか?」

「食べる…?」「え!? 良いんですか?」

目を輝かせて喜ぶ

「あのすみません! 餡蜜お願いします!」「かしこまりました」「誰が食べるの?」

答えは聞くまでも無く、判っている。答えは私だと

「もちろん! 水月先輩です!」

やっぱり…。これなら、茜の方がマシね

溜息をつきながら、遠くを見る

「御待たせしました。餡蜜です」

私の前に餡蜜が置かれる。目の前からは、何を期待しているのか、興味心身で私のことを見ている

「ここの餡蜜。凄く美味しいんですよ!」「そ、そうなの…」

ヒクヒクと愛想笑いを浮かべる

やっぱり…食べないと、ダメよね。でも、今はダイエット中なんだけど…

チラッと見てみると、楽しげにこっちを見ている

やっぱり、見てる。もうこうなったら、やけよ!

餡蜜を一口食べてみる。

あ、美味しい…

「どうですか? 水月先輩?」「本当に、美味しいわね」「言った通りでしょ? 私も食べよーすいません!」

まだ、食べるの!? その小さい体の何処に入るの?

運ばれて来た餡蜜をあっさりとたいらげる


「水月先輩。また、明日お会いしましょう!」「またね…」

手を振りながら判れる。

は〜、疲れた…。練習より、彼女と一緒に居る方が疲れるわ

ガックシと前のめりになる

「あ、水月先輩! ちょうど良い所で会いましたね」

ゆっくりと顔をあげると、茜がニコニコと笑いながら立っていた

「水月先輩、これから暇ですか?」「別に…用事は無いけど…」「じゃぁ…」

何…この悪寒は? もしかして…また!

「餡蜜のタダ券があるんですけど…」「もう、餡蜜はイヤー!」

そう言って走りだす

ーENDー


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