君のぞRPG〜第五章〜
船の甲板でふへ〜っとへたれる。

「何かあったんですか?」「アカネさんは、知らないんですね」「え、何々?」

「あのね、あの国の王子が居たでしょ」「はい…」「その王子様に気に入られたんです」

「え…マジですか?」

ミツキとユキは頷く。

「やっとの思いで逃げて来たの」「で、その王子って美形でした?」「まあね。王族の人だから」

「ですけど…そのような趣味があるようには…」「って事は、そこに連れて行かれた人って…」

しばらく沈黙が続く。

「なんだか、物凄く腹が立ってきたわ! やっぱり、あの王子を一発殴っとくんだった…」

ユキとアカネは苦笑いを浮かべる。ミツキは俺の所に来て、頬を引っ張る。

「いだだだ…」「何をボケ〜っとしてるのよ」「まともな心境で居ろって方が無理だ!」

「そんなの、忘れなさいよ」「それが出来たら、苦労はしないって…」

ミツキはため息をつく。

「私が…忘れさせて…あげようか…?」

ミツキのその発言を聞き、ミツキと距離をとる。

「何なの? その反応わ〜!」「べ、別に…深い意味は無いぞ…」「遠くから言われても、説得力無いわよ!」

しらーっと俺を見る。

『何をやってるんでしょう?』『も〜!ここからだと、聞こえない…』

『でも…このような行為はあまり…』『し!気がつかれるわよ!』『はぁ…』

「判ったわ!私だったら、不満なのね!いいわよ、せっかく…」「そんなことは…全然無いぞ〜!」

「だ・か・ら!そんな遠くから言っても、説得力が無いってば!」

ミツキはため息をつく。

「判ったわ!もう知らない…好きにしなさい!あと、そこの二人…覗き見はもっとうまくやりなさい!」


「はぁ…」「さっきのは、本気だったんですか?」「反応次第ね…」

ミツキは酒を飲み干す。

「おかわり〜!まったく、人がせっかく…ヒック!」「あの…それくらいに…」

「何!文句でもあるって言うの…? ヒック!」

ユキは、テーブルの上に置いてある空のビンを眺め、苦笑いを浮かべる。


まったく、俺は何をやってんだろうな…せっかくミツキが誘ってくれたのに…。

「馬鹿だな、本当…」

今からミツキの所に行って…駄目だ。絶対に許してくれない。下手をすれば、殺される。

背筋に寒気を感じる。

「あの…」「ユキか…どうしたんだ?」「ミツキさんが、酒場で…」

自棄酒を飲んでるのか…。

空瓶が頭にあたり、その場にうずくまる。

「ぐぉぉ…」「大丈夫ですか?」「さっきは、よくもふってくれたわね!」

「ミツキ…?」「何よ…ヒック!」「冷静に話し合おう…な」「私は冷静よ…」

駄目だ。完全に出来上がってる。

「だいたいねー。私の誘いを断ろうなんて…ヒック! 百年早いのよ…」

「あのことは、俺が悪かった…」「誤ってすむんなら…ヒック! まあいいわ。さ、行くわよ!」

ミツキは俺を船室へと引っ張って行く。

「ヒック! 今晩は寝かさないわよ…」

ミツキは不適に笑う。


翌朝、船内が騒がしく。その性で目を覚ます。

何だ〜、こんな朝早く…?

ボーっとした顔で部屋から出る。一人の船員を捕まえて聞く。

「何かあったのか?」「海賊だ!海賊がでたんだ!」「へー、海賊か………海賊!」

慌てて部屋に戻り、三人を起こす。

「何ですか? こんな朝早く…ふぁ〜」「なんだか、外が騒がしいですね…」

「海賊だ!」「え?」「海賊ですか!?」「う〜…頭が…割れそう…」

ミツキは駄目か…確か、この船に乗っている人で、戦えるのは俺達しか乗ってないか。

「甲板に行ってみよ!」「はい!」「判りました!」「水〜…水頂戴…」


「さっさと金目の物をよこすさ!さもないと…マユマユ!」「御衣!」

砲台が船長の方を向く。

「ま、待ってくれ…渡す…渡すから」「判ればいいのさ。さっさとよこすさ!」

「まったく、何もこんな朝早くに来なくてもいいだろう…」「ん? お前は…!」

「知り合いですか?」「いや!まったく知らん!」「でも、あちらの方は知ってるみたいですよ…」

「うがあああぁぁぁ…! 何を勝手に忘れ腐ってるのさ! 忘れてるんだったら、思い出してやるさ! マユマユ!」

「御衣!」 

砲台がこっちを向く。

「ほ、本当に覚えが無いんですか?」「さっぱり…」「ですが…あの方は、かなりお怒りですよ」

「そうだな。まあ、とりあえず誤っとくか! なあ、悪かった!」

「うがあああぁぁぁ…! ふざけるな〜!」「あのさあ、今の俺は記憶が無いんだ。だから…」

「記憶が無い…? だったら…教えてやるさ! 貴様が何をしたかを…」

第六章に続く


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