契約 第一章

目覚ましが煩いくらい鳴り響く。だが、今の俺にはとめるすべを持っていない

なぜなら、しっかりと抱きつかれているからである

寝る時は横を向いて寝るのだが、それが災いして拘束されている訳である

美亜がというか、美紀が夜中のうちに俺のベットに侵入したせいでこうなったのは明白なのだ

しかし…今の状況を打破するすべは、無いに等しいだろう…。両手と両足でしっかりと、手と足に絡み付けてある。

よって、身動きすらできないってことになる

コンコン…

『起きてる〜?』「もちろん…」『だったら、止めたら〜?目覚まし時計…』「できればやってるよ〜」

『あ、それもそうね…』

葵は部屋に入って来て、目覚ましを止めて出て行こうとする

「どちらに…行かれるんでしょうか…?」「どこって〜」

葵はムフッと笑う

「学校に決まってますわ〜。遅刻したことは嫌なのですから〜」「お願いします…助けて〜」

半泣き状態で助けを求める


「ここでお別れだ。また、昼休みな」

美亜は物欲しそうな顔をしながらこっちを見る

「ほら、行って来いよ…」

美亜は頷いた後、こっちをちらちらと見ながら歩いて行く。美亜が見えなくなって大きいなため息をつく


昼休みはお決まりの場所の屋上で、美亜が来るの待ち続ける。

「ふふふふ…一人かしら…?」「俺が一人で居たら悪いか?」「いいえ、ボクはその方が都合が良いから〜」

空から大きな鎌が落ちて来て、屋上に突き刺さる。その上にゆっくりと全身にマントを羽織った人が降り立つ

「俺に…何か用事か?」「そう…用事があるのは、貴様だけだから…」

マントの隙間から少し見える顔がニヤリと笑う

「お願いあるんです…」「何だ?」「死んで下さい!」

すばやく鎌を持ち上げると、容赦なく大鎌を振ってくる


キョロキョロ…

「あ、美亜ちゃん。どうしたの?あ、高木君を探してるの?」

美亜は頷く

「彼だったら、先に屋上に行ったはずよ。行ってみたら?」

美亜は深々と頭を下げる


「どうした〜!貴様の力はそんの程度か〜!」「丸腰の相手に好き勝手しやがって〜」

「さ〜あの時の力を使いなさい!そして、ボクと戦え〜!そして、殺されるんだよ…貴様はさ〜」

グッと拳を握り締める

「後悔するなよ…。コイ!グランド〜」

そう叫ぶと、目の前に雷が落ちて剣が姿を現す

「そう。それで良いんだよ」「さーボクと遊ぼうよ…お姉ちゃんを殺した時のようにさー」

お姉ちゃんだって…。ってことはこいつ…

「ま、待て!」「聞く耳は持ち合わせてない!」

大鎌が一気に振り下ろされ、それをかろうじて受け止める。だが、鎌の予想以上の重みに耐えれらずに膝をつく

何て重さだ…。この重さを軽々と扱ってだと…

「このまま潰すのも面白いね〜」

そう言うと、鎌の重さが増す

「な…」「さて、どこまで耐えられるか楽しみだよ…」「馬鹿に…するなよ…」「まだ無駄口を…」

鎌の重みがさらに増す

「がは…」「さー観念して、そのまま潰されれば?」「う、うるせ〜!」「そう…さようならだね…」

そう言った瞬間、一本の光る矢がマントの人物の肩を貫く。その瞬間、重みから開放される

「だ、誰だ!」

矢の飛んできた方を見ると、誰かが立っているのはわかるが、誰かは判別はできない

「そうね〜。今、そいつに死なれた困る奴ってことで宜しく〜♪」「ふざけるな!」

「さ、さっさと退散したらどう?これは提案とかじゃなく、警告よ」

そうたしなめるように言い、弓を引いて狙いを定める

「ち、ちくしょ〜!」

そう叫んだ後、大鎌を持って何処かに行ってしまう。それと同時に、その場に倒れこむ


「な、何で…どうして…」「ごめんね…私…不器用だから…こうするしか…ないかったんだ…」

「だけど…なんで、どうして…」「へへへ…だめだよ。泣いたら怒るからね…」

そういって優しく微笑む

「でも…俺は…メフィアのことを…」「駄目…それ以上は、言っては駄目…」

メフィアはフッと笑う

「ばいばい…」

メフィアはグランドを掴み、自分の体に突き刺す

「や、やめてくれ…頼むから…」「私ね…忘れないよ。隆樹と過ごした時間を…」

メフィアはチリとなって消え去る。両膝を地面につき、空に向かって叫ぶ

「チクショ〜!」


がばっと起き上がる

「あら〜お目覚め〜?」

声がした方を見ると、美人で有名な保健室の雹先生のがこっちに歩いてやって来る

「俺は…いた!」「駄目よ〜。まだ無理しちゃ〜」「あの〜」「ん〜?何かなー?」

「何でここに?」「それは怪我人だから〜」「そうじゃなくって…」

ガラガラ…タタタタ…

「あら〜彼女さんの登場♪」

カーテン越しに誰が立っているかはすぐにわかった

「美亜か…?」

影は頷く

「もしかして、心配して来てくれたのか?」

影はさっきより大きく懐き、小刻みに震えだす

「美亜…」

カーテンを開けると、美亜は抱きついて来て、俺の胸の中で泣きじゃくる

「ゴメン…。もう二度と、悲しい思いはさせないって言ったのにな…」

そう言いながらそっと頭を撫でてあげる

「あらあら…何?学生恋愛?良いわね〜若いって〜。私、外に出てようか?」「な!」

そうだ!ここには、この人が居たんだ〜!

「べ、別に…お気遣いは…」「ごゆっくり〜♪」「あ…だから…」

これからどうしたものか…

頭をぽりぽりとかく



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