鏡と篭と鎖 第二章

今日は珍しく、慌しく入って来きて鞄をあさり、一つの手紙を私の前に投げる

「確かに渡したからね…」

そういって、慌しく病室から出て行く。そして、外で

『コラー!病院内は、走ったら駄目でしょう!』『すみませ〜ん…でも、今は緊急事態なんです〜』

その時間をポカーンして過ごす。ふと我に返り、手紙を手にとって裏を見る。

そこには『橘洋平』と書かれており、胸をドキドキさせながら封を切る


「何だか、慌しくてごめんね…。実はね、トイレに行きたくてね。でも、手紙を先に渡し方が良いと…」

病室に入って来て、必死に取り繕うと頑張っている。

そして、私の手に握りられている、果物ナイフに気が付いて駆け寄ろうとする

「来ないで…来たら…」

そういい、喉もとにナイフをあてる

「な、何を考えてるの…?」

少し上擦った声で私に問いかける。すっと、手紙を手に取る

「それは…あなたに…」「違う!これは…これは…」

ナイフを持った手に力を入れる

「これは、私にだけど…あなたにへじゃない!」「え!?」

目じりに涙たまる

「彼が好きなのは、あなたで…私じゃないの!」

ゆっくりと彼女の方に顔を向け、涙目で笑う

「だから、私は死ぬ…そうすれば、あなたも消えるから…」「ば、馬鹿!何を言い出すのよ!」

「馬鹿でも良いよ…どうせ、死ぬんだから…」

目をつぶり、ナイフを持つ手に力を入れて、一思いに…


「はぁはぁ…」

ポタポタと手から血がベットの上に落ちる。そのまま、ナイフを私から奪い取り床に投げ捨てる

「な、何でよ…どうして…」

パン!

「馬鹿!大馬鹿〜!彼はね…彼は…」

俯き手を握り締めながら、小刻み震える

「ずっと前から好きだったよ…あんたの事がー」

それを聞きき、放心状態になる

「前々から、あなたの事が気になったの…でも、なかなか言い出せなくって…。今日、それをあんたにって…」

震える手で手紙を拾い上げる

「それを渡す時にね、こう言ったのよ『本当の…岬恵子に渡してくれ』って」

手紙を抱きしめる。その光景を優しい笑顔で見続けている

「あ、手…」「え?あ〜!」

立って居る場所の下には、血の泉が出来上がっている

ドタ!

「いや〜!」

必死にナースコールを押す


手を包帯でグルグル巻きに去れ、それを眺めながら椅子に座っている

「ごめん…」「何で誤るの?これは、私が好きでやったことよ」

そういって笑う

「でも…私があんなことしなかったから…」

ふうっとため息をつき、でこをピンとはじかれる

「あいた…」「この馬鹿娘がー。あーあ…今度来る時に、橘君も来たいって言ってたけど…」「エー!」

驚きのあまり、ベットから転げ落ちそうになる

「でも…やめようかなー」

しらーっと私を見て、ニヤリと笑う

「ううぅぅ…」「実はね。ドアの向こうに居るんでーす!」「エー!」

ベットから転げ落ちる

「何やってるの?冗談に決まってるでしょ…」「痛い…」

自分でベットに戻り、ムスッと膨れる

「あははは…さすがに、まずかったかー。御免…」

そういって、頭を下げながら手を合わせる

「でもね…来たいっては本当よ。手紙を渡された時に、言われたんだから」「そうなんだ…」

ぽーと顔を紅くする

「もしかして…照れてるのかしら?」「え!?ち、違うよ…」

顔の前で手を振ってる

「誰も居ない病室に二人っきり…二人は何気ない会話をした後、二人の顔の距離が徐々に縮まり」「イヤー!」

とっさにお盆で、顔面を強打する

ピクピク…

「何すんじゃい!このガキャー!」「だ、だって…」「連れてくるの、止めようかな〜」「はぅ…」

コンコン…

「どうぞ…」

ドアが開き、入って来た人を見て、顔を紅くしたまま硬直する

「や、やぁ…」「な、ななな…なんで〜」

ポー!パタ…

「ねーちょっと…しっかりてよ…御願いだからさー」

ユサユサ…

「僕…来たらまずかったかな…」「お・き・ろー!この馬鹿娘〜!」


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