| かぎられし… |
| 「今日は…ここで…」「え…でも、家までもう少しだし…」 彼は驚いた顔で私の方を見る 「でも…ね、今日は少し一人で歩きたいから…」 私は、うつむきながら申し訳なさそうにそう呟く 「そっか…わかったよ」 彼は、小さく頷く 「またな…」「うん。さようなら…」 何時もだと二人が分かれる時は『さようなら』ではなく『バイバイ』などを言うけど…今日は、特別だから… 彼は、一瞬変な顔をした後自分の家に向かって歩き出す。私は、彼が見えなるまで小さく手を振る 彼が見えなくなると、私はゆっくりと自分の家へと歩きだす 鍵を開けて、誰も待っていない部屋へと入る。普段なら、暖房器具のスイッチを入れたりする でも、今日はそれをしない…。だって、もう…私には必要ないから… 窓の淵に座り、夜空を眺めている時に携帯が鳴り始めたので、でてみると彼だった 『寝てたか?だったら…悪い…』「ううん…大丈夫。何か用事?」『うん。今度の休みっていつだっけ?』 「ちょっと待ってね…」『了解…』 カレンダーを確認するしに行く。でも、私には次の休みなど… 「そっか…分かった」『聞いてどうする?』「あ、うん…ちょっとな…」『気になる〜』「秘密だ…」『ケチ〜』 電話で口を尖らしている彼女の顔が思い浮かぶ 「こんな時間に、悪かったな」『ううん…』「御休み」『うん。御休み…』 手帳の教えてもらった日付に印をつける。何となく再度、携帯を取り出して眺める この時、僕は一抹の不安を覚える。でも、その時は気のせいだと思い家へと歩みを進める 携帯を手近な場所に置き、また窓の淵に座って夜空を眺める 「綺麗だな〜」 夜空に輝く星を掴むような感じで、空へと手を伸ばす。その時、一つの流れ星が… 上に持ち上げられた腕はゆっくりと下ろされる 携帯で話をした後に、どれくらい歩いただろうか…。僕は、再び歩みを止めてしばらく考えた後に走りだす。彼女の家へと… 彼女の家の前に来て、呼び鈴を鳴らすが反応がない。仕方がないので、合鍵で中に入る 彼女は、窓辺で穏やかな顔でそこに居る。僕は、駆け寄って必死に彼女の名を呼ぶが、まったく反応はなく 僕は、この時に確信する…。彼女は… 誰かが私の名を呼び続けている。私は、薄っすらと目を開ける 「だ、誰…?」 ゆっくりと目を開ける。最初は、ぼやけていた視界が次第にはっきりとなる 私の名を呼んでいたのは、ついさっき携帯で話をした彼だった 「え!?」 驚いた顔で辺りを見渡す。そこはどこかの教会だった 「ここは…教会…だよね〜?」 彼は黙って頷く。私は、視線を下へと向けると、私は純白のドレスが目に入る その瞬間に、私は今の状況を理解する。ここで、二人で式を挙げてるんだと… 彼はいつもの様に優しく微笑み、そっと左手を私に差し出す。私は、その手にそっと手をのせる 二人でゆっくりと歩みを進め、ドアが開いて眩しい光の中へと進んでゆく 僕は、そっと彼女をベットに寝かせる。顔を上げた時にテーブルの上に置いてある一つの封筒に気が付く それを手に取ると、そこには僕の名が書かれている。中には数枚の紙が入っていた それを取り出して読み始める。最初の一行目には『ごめんなさい』と書かれていた。その後はこう続いている… |