異世界 -第一章- |
「う〜ん、ここは何処だ?」「あっ気が付きましたね」 声がしたほうに顔を向ける。そこには、猫の耳の女性が居た 「俺どうしたんだ?」「森で倒れてたんですよ〜」「森で?」 「あそこで何してたんですか?」「俺にもサッパリ判らない…」「そうなんですか〜」 その子は、残念そうな顔をする。 「もしかして、君一人でここまで運んできった…って事はないよね〜?」「私一人ですよ!」 「えっ!マジで!」「はい!こう見えても力はあるんです!」 その子は大きく頷き、自信満々に言う。 「そうなんだ〜」「あ! 何か食べるもの持ってきますから、少し待ててください」 「悪いな…」「気にしないでください」 そう言って部屋から出ていった ここは何処だ? 窓から外を見る。外を歩いてる人は、みんな動物の耳がついている。 「お待たせしました!」「悪いな…俺なんかのために迷惑かけて」 「いいえ〜!困ったときはお互い様ですよ」 その子はニッコリと笑い、持ってきた食べ物を俺の前に置く。 「そうだ!まだ自己紹介してなかったな、俺は矢島翔、翔でいいから」 「私はキャサリンです」「キャサリンか〜いい名前だな〜」 「ありがとうございます」 キャサリンは嬉しそうに笑う。 「翔さんは、どちらから来れたんですか?」「俺か? 俺は山口からだ」 「やま…ぐち…? 何処の国ですか?」「日本だけど…」「に…ほん…?」 「もしかして、本当にわからないのか?」「はい、聞いたことありません」 「なあ、何処なんだ?」「ここは〜、ミスティア大陸のシルベスタという町ですよ」 おいおい、何処だよ〜。まったく聞いたことねーぞ! 「どうかしたんですか?」「今言った事に、嘘偽りはないな!」「はい、ありませんよ」 俺はまったく違う世界に来たってことか〜 「あの〜、どうかなされたんですか」「ちょっと待ってくれ、俺なりに整理してみるから」 「は〜」 キャサリンはキョトン俺を見る。 俺は何でここに来たんだ? まずは…そこだ! 確か光の玉があって、それに触ったら中に吸い込まれたまでは覚えてるが…そこから先がさっぱりだ 「あの〜?」「あ、ごめん…何?」 「服を着替え方がいいと思うんですが?」「えっ?」 服を見てみると確かにボロボロだった 「そうだな…」「はい、これに着替えてください」 キャサリンは服を俺に差し出す。 「ありがとう」 服を受け取って着替る。 「どうかな〜?」「とてもお似合いですよ!」「でも、この服どうしたんだ?」 「家にあったので…」「いいのか、勝手に持ってきて?」 「はい!それは、兄が着てたものですから」「へ〜、お兄さんが居るんだ〜」 「正確には居た…ですけど…」 キャサリンは暗い顔をする。 「すまない、変なこと聞いて」「いいえ〜気にしないでください」 「そうだ! 下で何か飲みながら、翔さんのお国の話聞かせてください!」 「ああ、俺は別にかまわないぞ」 下に降りる。 「そこに座っててください」 言われたところに座る。 「どうぞ」「ありがとう」「翔さんのお国ってどんな所だったんですか?」 「俺の居たところか〜、空気は汚いし人は多いしやってられない環境だったぜ〜」 「そうなんですか?」「ここはどんなところなんだ?」 「ここは見てのとおり、小さな田舎町です」「それは判るが…その耳はどうしたんだ?」 「これですか?」 キャサリンは自分の耳を指差す。 「これは生まれつきです! 翔さんのお国ではついてなかったんですか?」 「ああ、現に俺にもないだろ〜」「そう言われてみればないですね〜」「だろ」 「そうか〜! 翔さんは別の世界から来たんですね!」「そうなるな…」 「異世界の人ですか〜。なるほど…」 じ〜! 「そんなにじろじろ見るなよ〜」「すいません、つい珍しくて〜」 キャサリンは苦笑いを浮かべる。 「そうだな、そう簡単に異世界の人間は見れないからな」「私は仕事にって行って来ますね」 「仕事?」「はい!畑仕事です」 「よし!俺も手伝ってやるよ〜、助けてもらったお礼もかねてな」「本当ですか!」 「ああ。助けてもらった恩もあるしな」「お願いします」 二人で家を出る。町の中は見た事もない物であふれ返っていた。 「あんまり余所見してると、はぐれますよ〜」 かなり遠くから、キャサリンが叫ぶ。 「判ってる」 ん? 何だこれ? 石の柱を下から上に見てゆく。 石の時計台かねぇ 「も〜、何してるんですか〜」 キャサリンは怒った顔で言う。 「珍しいものがあるから…ついな…」「え? 翔さんのところにはな無かったんですか?」 「そんなものは無い!」「そうなんですか〜、あ〜! 遅れちゃいます〜!」 キャサリンは俺の腕をつかんで走り出す。 「うわ〜!」 キャサリンの足の走るスピードが速く、体が浮く・ 確かに力はあるみたいだな〜。しかも、かなり足も速いのか〜。これはらくちんだな〜 しばらく走って、キャサリンが急に止まる。その反動で壁まで吹っ飛ばされ、壁に減り込む。 「みぎゃ…」「大丈夫ですか?」 キャサリンが側にかけより、心配そうに聞く。 「何とか…」「キャサリン誰だいそいつは?」 突然、誰かの声が聞こえてくる。 「あっ!シュルさん、この人はですね〜」 「キャサリン…もっと男を選んだほうがいいわよ。何処の馬の骨とも判らない男よりね…」 シュルは呆れ顔でそう言う。キャサリンは顔を赤くしながら、それを聞く。 「翔さんは立派な方です!」「ほー! 翔と言うのか」「始めまして、矢島翔です」 「私は、シュルよろしく。あんたも、ここで働くのかい?」「手伝いだけすよ〜」 苦笑いを浮かべながら頭を掻く。 「そうかい、本気で仕事してみる気はないかい?」「仕事って、どんなのですか?」 「あそこの畑の収穫とるだけだ!」 指された先の畑を見てみて絶句する。 「ちょうど一人やめて困っていたんだ。どうだいやってみないか? ちゃんと給料は払うぞ!」 どうせ、することも無いんだしやってもいいか〜。 「やります!」「決まりだな、ならここにサインして…」「はい」 やっぱり、要項とか読んだほうがいいよな・ 要項を読もうとしたが、そんなものは何処にも無かった 「あの〜…」「何だ?」「要項が、何処にも無いんですけど…」「そんな物は、ない!」 ウソ! 「サインしないのか?」「します! します!」 仕方がないサインするか〜。 「これでいいですね〜?」「上出来だ! 早速、キャサリンと一緒にやってくれ」 「そのキャサリンは何処に?」 畑を眺めるが、キャサリンの姿を見つけることは出来なかった。 「ほら、あそこだ!」 言われた方を見てみると、すごい勢いで働いているキャサリンが居た す、すげ〜! 俺もああなるのかな〜 「ほら、ぼさっとしないで、ささっと行け〜!」「判りましたよ〜」 キャサリンの所に行く。 「キャサリン」「あっ! 翔さん」 キャサリンは手を止めて、笑顔で手をふる。 「俺もここで働くことになったから、よろしくな」「はい! 一緒にがんばりましょう!」 「俺は何をしたらいいんだ?」「そうですね〜」「 キャサリンは、ざーと畑を見渡す。 それをあそこの納屋に運んどいてください!」「なやって何処にあるんだよ〜?」 「あるじゃないですか〜! ここから30`先に!」「なに〜!30`だと〜!」 「はい、頑張ってください」 キャサリンはニッコリと微笑む。 やっとの思いで、言われた物を納屋に運ん出戻ってくると、また量が増えていた 「なんか量が増えてないか?」「それはそうですよ〜、収穫したものですから」 「さようですか…」 それを聞いて、ガックシ肩を落とす。 は〜、先が思いやられる 「早くやって下さいね〜」「判ってるよ〜!」 意地でも終われせてやる〜! 数十回往復して、やっと終わる。 「だ〜、疲れた〜」「お疲れさん、初めてにしてはなかなかだったぞ」「どうも」 「ほれ、これでも飲め」 シュルさんはコップを差し出す。 「あっ、どうも」 コップを受け取り、それを飲む。 「キャサリンはどうしてますか?」「ほれ、あそこだ!」 シュルが指差した先で、キャサリンはめまぐるしく働いていた。 「まだやってるんですね」「待ったく…倒れなければいいが…」 「ちょっと止めてきますね」「がんばてこい、死ぬかもしれんがな…」 「ちょっと待ってください!死ぬって何ですか〜」「軽い冗談だ」 「なら言わないで下さい!」 そう言ってキャサリンの所に向う。 「キャサリン、そろそろ休憩にしないか〜?」「もう少しやってから〜」 「もう十分だろう」「まだ、半分も終わってないしー!」 半分ね〜、どんだけあるんだここの畑は 「いいから〜、休もうぜ!」「ここまでやったら、休むね」「先に行ってるから」 「ほ〜い!」 戻る途中でキャサリンが抱きついてきた 「うわ〜」「終わったよ〜」「それはよかったな〜」「うん! 今日はもうすること無くなったよ」 「そうなのか?」「そうなのです!」「それより、離れてくれ…」「あ、ごめんね…」 キャサリンは慌てて離れる。 「することが無いんだったら、これからどうするんだ?」「う〜ん、買い物くらいしかないよ」 「じゃ〜行くか! 買い物」「うん♪」 「まず、シュルさんに報告しとかないとな」「もうしてきたよ」 はや! 「だから行こ〜」 キャサリンはそう言って、グイグイと引っ張る。 「判ったから、引っ張るな〜」 二人で、店が建ち並ぶ通りに行った 「ここが市場だよ」「へ〜これがー」「すごいでしょ〜!」 「や〜、キャサちゃん今日は彼氏連れかい?」「ちがいますよ〜」 キャサリンは真っ赤な顔で否定をする。 「隠さなくてもいいって」「本当に何で無いんですって〜」 「そうだ! 今日は、これが入ってるぞ」「どれですか?」「イモリだ〜!」 イモリ…もしかして食べるのか 「う〜ん、今日は遠慮しときます」 店の人は残念そうな顔をする。そして、何かを思い出しようにゴソゴソと、何か探し始める。 「ならこれはどうだい? またたびだ〜」 まさか反応しないよな〜 「ください!」 キャサリンは目を輝かせる。 反応してるし… 「毎度どうも」「ルンルン♪」 キャサリンは嬉しそうに飛び跳ねる。 「そんなに嬉しいのか?」「うん♪ この辺だと、めったに手に入らないんだよ」 「そうなのかー」「ね〜! ね〜!」「…ん?」「あの服可愛いよね〜「どれだ〜?」 「あれだよ〜、あれ!」 指差した先を見てみると、セーターと短パンのセットがあった 「あれか?」「うん♪」「欲しいのか?」「でもお金無いからいい」「そうか…」 でもこの世界の通貨ってどんなのだ? 「な〜、この辺の通貨ってどんなのだ?」「これだよ」 キャサリンが見せてくれた、通貨を見て驚く。 これって…100円玉、一緒じゃんか〜 「もしかしてこんなのもあるのか?」 一万円を差し出す。 「うん、そうだよ!」「これだと、あれ買えるのか?」 「もう、何じゃ着も!」 この世界では、どんだけの価値がこの一万円に 「よし俺が何でも買ってやら〜!」「本当に!」 キャサリンは目を輝かせる。 「お礼だ、仕事は手伝えなかったからな」 そう言って、店の中に入る。 「さて、どれにするんだ?」「どれがいいんですかね〜?」「そうなだな〜これなんかどうだ?」 「う〜ん、今ひとつですね」「ならこっち」 「う〜ん…」「ダメか〜?」 「もう少し…動きやすいのが…」 「ならこれだ〜!」 ポロシャツと短パンをのセットを差し出す 「それいいですね!」「だろ〜、買いだな」「はい!あとは〜、翔さんのですね」 「俺のも選ぶのか?」「だって〜着替えも必要でしょ〜」「それもそうだな」 自分で選んで買う。 「次は、何処に行くんだ?」 「良い所です」「良い所?」「はい!」 何処だ? 「翔さんって、元の世界に戻りたいんですか?」 「ま〜、戻れるんならそれにこしたことは無いが…」「やっぱりそうですよね!」 「もしかして、そのやり方を知ってる人の所に行くのか?」 「知ってるかどうかは、行ってみないと判りませんが…」「急いで行こうぜ!」 そう言って走りだすが、すぐに服をつかまれる。見事に地面とキスをする。 「みぎゃ…」「何処に行くの?」「何処って決まってるじゃないか〜」 「場所わかるの?」「あっ!何処にあるの?」「すぐそこだよ」「早速行ってみよー!」 「今は留守だよ!」「何で〜!」「夜にならないと起きないの」「なんだかな〜」 「とりあえず帰ろう」「そうだな」 「な〜」「何?」「ここに一人で住んでるのか?」「うん、そうだよ」「何かと大変だろう」 「慣れてしまえばそれが普通になるから」「そんなもんかね〜」 「でも今は、一人じゃないから…」「え?」「だって〜、翔さんが居るもん!」 キャサリンはそう言って、赤い顔でニッコリと微笑む 「それはそうだな、ところで日没までどれくらいあるんだ?」「もう少しだよ」「え? もう少し?」 「うん! あと5秒くらい」「ご、5秒!?」 「ほらなった!」 外を見てみると確かに夜になっていた。 どうなってんだこの世界は? 「早速行きましょ〜!」「そうだな…」 家を出てさっきの所に行く さすがに、BARはないみたいだな〜 「ここだよ」「これはまた…怪しげな…」「そうかな〜」 キャサリンは首を傾げる。 「そうだろ〜、何で家の入り口に動物の髑髏なんか置いてあるんだよ」「おかしいかな〜?」 「いいや、中に入ろう」 中に入ろうとした時に、キャサリンに止めらる。 「なんで止めるんだよ?」「あのね、ここの人変わり者だから注意してね」 「変わり者?」「とにかく、私が先に入るから」「ああ…」 そんなに危ないのか? キャサリンはそっとドアを開けて中を見渡していた 「大丈夫みたい」「普通そうだろ…」 中に入る 「何にも無いじゃないか〜」 その時足で何かの糸を切る。 「…ん?」 ガン! 頭の上に盥が振って来た 「あっいた〜!」「大丈夫ですか?」「ほっほっほ…まだ若いの〜」 奥からおばあさんが現れる。 「誰?」「この人が、さっき話してたメディーさんだよ」「さて、用事は何だね?」 「その前に、このトラップは何ですか?」「これかい?」 そう言いながら、一本のロープを切る ザ〜! 今度は、頭から水がかぶる 「何するんでか〜!」「ちょっとした、お茶目じゃよ」「あ〜あ〜、びしょびしょだよー」 「乾かすかい?」 いやな予感、こんどは燃やされそうな気がしたので、即座に断る。 「いえ! 結構です」「そうかい」「私、着替えとってくるね」 そう言ってキャサリンは出て行く 「さて、本題に入ろうかね」「そうですね…」「何が聞きたいんだね」 「俺を元の世界に戻してくれ!」「ほほー! これはまた、すごいことを言いだすねー」 「無理なんですか?」「出来ないことないよ」「本当ですか!」 「ああ、生まれてこのかた嘘を言ったことは一度も無いからねー」 「どおすれば、良いんですか?」「そうあせらんでもよかろ〜」 メディーはやれやれといった顔をする。 「は〜」「まずは、その服を着替えてからじゃ」 それもそうか〜 「お待たせ〜!」 キャサリンが着替えを持って帰くる。着替えを受け取って物陰で着替える。 「服も着替えたし、早速やったもらおうかー」「こっちに来な」 そう言って、奥に消えてゆく。その後について、奥に入ってゆく。 「ほれ、そこに立ちなさい」「ここにですか?」 魔方陣が書れている所に立つ。 「本当に戻れるんでか?」「それは、お前さん次第だ」「俺…次第?」 「お前さんがどれだけ帰りたいと思うかによって、成功するかどうかが決まるのさ」 「そうなんですか〜」「早速はじめるよ」「お願いします!」 おばあさんは何や呪文みたいなものをとえ始めた しばらくすると魔方陣が光りだして、そのあとに光に包まれた |
ー第二章に続くー |