合体

職員室から美術室まで、教材を運ぶという簡単な話。遙一人では荷が重いだろうと、手伝うことにしたけど…

まさか…あんなことになろうとは……

「水月…ごめんね。手伝わせて…」

遙は、申し訳なさそうな顔でこっちを見る

「私が言い出したんだからー。手伝うってね」

そういってニコッと笑うと、遙はほっとして頷く

「ちゃっちゃっと運びましょう」「うん」

遙には小さめのを持たせ、私も荷物を抱えて歩き出す。階段を登っている時に、遙のポケットから鍵が落ちる

「あ…」

後ろを歩いてた私は、荷物を側に置いてそれを拾って、顔を上げた時

「キャー!」

遙が階段を踏み外して、私目掛けて落ちて来る瞬間だった。遙の持っていた荷物付です

そのまま、二人階段を転げ落ちる

「あいたたた…遙、大丈夫?あれ…遙?」

あたりを見渡すが、遙の姿はどこにも見当たらない

「あれ〜?」

階段を見え上げ、状況を整理する

遙が落ちて来て一緒に階段から転げ落ちて…

再度、見渡すが遙の姿はどこにも見当たらない。立ち上がって、スカートに付いたごみをはらって顔を上た瞬間

教室の窓ガラスに映った自分の姿に驚く。そこには、私と遙を足して二で割った人が居る

ぺたぺたと顔などを触ってみると、ガラスに映った人も同じことをする

「こ、これは…夢よね…うん。きっとそうよ…」

自分の頬を抓ってみると、確かな痛みを感じる


「で、何で俺の所に来るかねー」「仕方が無いでしょー。他に行く所なんて無いんだから…」

俺の所は、べつに関係ないのか?

「で、どうしたいんだ?」「それは…戻りたいわよ…」「良いじゃん。そのままでも」

ソフトボールが顔の横を通り過ぎ、壁に減り込む

「さて、どうしたものか…そうだ!」

携帯を取り出して、とある人に電話する

「誰にかけてるの?」「孝之…」

凄い勢いで携帯を取り上げられて、破壊される。その破片を半泣き状態で持ち上げる


コーヒーカップをテーブルの上に置く

「一つ聞いても良いか?」「ん?なあに…」「涼宮の意識とかはどうなってるんだ?」

「そうね…眠ってるみたい…」「はぁ?無理寝かしてるの間が…ブッ!」

顔面でソフトボールを受け止める

「だ〜れ〜が〜無理やりですって〜!」

おぞましい顔で、ゆっくりとこっちに歩いて来る時に、足がもつれて顔面から倒れる

ポン!


数日後の帰宅時...

「どうだ?元に戻った感想は?もう一回なりたいか?」「殴るわよ…」

水月は、拳を見せる

「同じように、階段から落ちたら戻るなんてな」「痛かったんだからね…」

「考えてみたら、茜ちゃんと引っ付けばもっと早く泳げるようになったりしてな」

冗談半分で言ったのだが、水月は真剣顔で何やらブツブツ言う

「水月せんぱーい!」

そんな時、茜ちゃんが前から走って来る。水月は、茜ちゃんを拉致して、そのまま何処かに行ってしまう

「まさか…さっきのことを本気にしたですか?」

一人取り残され、ただその場に呆然と立ち尽くす



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