バイト
求人誌をパラパラ…とめくって、それを閉じて机にふさぎ込む

「何をやってるの?」

水月が子馬鹿にした顔で聞いてくる。

「何って…バイト探し」「バイト?」「そう! バイト!」

水月は求人誌を手に取って見始める

「なかなかいい所がなくってよ。学校に行ってない、俺がいつまでも…」「ねぇ。ここなんて、どう?」

「んー? どれ?」「ここ!」

水月は一つの店の求人を指差す

「良く見ろ! 歳が足りないだろ?」「え!? あ! 本当だー!」「じゃあ…」

水月は、真剣に雑誌を見る。それをただ、呆然と見詰る


「ねぇ。本気で探す気あるの?」「無い!」

スパン!

「どっちなの…!」「あり…ます…」

ヒクヒク…

「そうだ! ちょっと待てて!」

水月はそう言って、部屋から飛び出して行く。

何だか、すごく嫌な予感がするが…気のせいだろ


三十分後…

「ただいまー!」

水月は両手に沢山の荷物を持って戻って来る

「な、何だよ? その荷物は?」「こっちは、夕食の材料でしょ。それで、こっちが…」

水月は袋から、色々な求人誌を取り出す。

「お、おい…。まさか…」「そうよ! 本屋にあったの全部、買ってきたのよ!」

やっぱり…買い過ぎだって

「これだけあれば、いい所があるわよ!」

水月は自信たっぷりに言う

その自信…いったい何処から来るんだ?

「さー、探すわよー!」

水月の買ってきた、求人誌を一冊手に取って眺める

「ねぇ…ここ大丈夫よ」「そこは、大阪だって」「え、あ、本当ね…御免」

水月はテヘっと舌をだす

「まったく…」「じゃあ、ここなんてどう? 場所も近しい…」「どれどれ…」

水月から、求人誌を受け取り見てみる

「ほら、ここ。すかいてんぷるってところ!」「へー、良く見つけたなー」

「ねぇ、電話してみたら?」「そうだな…」

こうして、俺はすかいてんぷるのバイト面接を受けることになった

この時はまだ知るよしも無かった…。あの核弾頭と出会う事を…

ーENDー



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