待ち合わせ場所に行くと、ベンチにぼ〜としながら座っている姿が目に入る
気がつかれないように後ろに回りこみ、いきなり目をふさぐ
「うわ〜!」「だ〜れだ…?」
そう悪戯ぽく聞く
「簡単だよ。茜だろ?」「え…どうして解ったの?」「そんな手をしてるのは、茜位だからね」
そういって楽しそうに笑い始める。それを見た瞬間ブチッと何かが切れ、首を絞め始める
「誰の手が、凄いんですか〜?」
にっこりと笑いながら、徐々に手に力を入れていく。必死にもがきながら私の手を叩く
このままだと、殺人事件になり刑務所に入れられてしまうので、手を離してあげる
「ゲホ…ゲホ…何するんだよ」「されるような事をいったからです!」
そういってぷいっとそっぽを向く。ベンチの横に座り、ぶすっとした顔をしながらそっぽを向く
「ごめん…かるい冗談のつもりだったんだ…」
必死に弁解しようと努力している。それでも、そっぽを向く
「どうしたら…許してくれる?」「何か奢って?」
そういいながら笑顔で振り返る。すると、鳩が豆鉄砲でも食らった様な顔をする
「え…今、何て…」「だから、何か奢って?」
ニコニコと笑いながら答える。それを見て、またやられた〜といった顔をしながら頭を掻く
ベンチから立ち上がり、手を引っ張りながら歩き出す。やれやれといった顔をしながらついて来る
「ここで良いのか?」「他の所が良かった?」
そう聞くと、ブンブンと首を横に振る。それを見てクスッと笑う
「入ろう」「そうだな…」
店の中に入り、席に案内されて座る
「何でも好きな物を頼んで良いよ…」「じゃ〜……」
メニューを隅から隅まで見て、高い物を探す。その合間に、財布を取りだして中身を確かめている姿を覗き見てクスッと笑う
「私は…これとこれ」「そんなので良いのか?」「うん。これが食べたいから」「なら良いけど…」
何か煮え切らない顔をしている
「この後、どうすの?」「そうだな〜。茜は何がしたいんだ?」「奢り?」
そういうと同時に額にデコピンを一発いれられる
「調子にのるな!」「ぶ〜!」「俺の部屋に来るか?ケーキも買ってあるんだ…」
そう照れ臭そうな顔をしながらいう。私は思わず顔を紅くする。その後、しばらく沈黙が続く
料理が運ばれてきて、無言のままそれを食べる
「お邪魔…します…」
おずおずと中に入る。実はこの家に来るのは、今日が始めただっりする
「汚いところだけど…」「そうね…」
部屋の中を見渡しながらいう。それを聞いて肩を落とす。どうやら、必死に片付けたらしい形跡に気が付く
「コーヒー淹れるな…」
そういってキッチンに急ぎ足で行ってしまう。それを見た後、少しばかり部屋の掃除をしてあげる
その時に、当然ある物を見付けたりするが、そっと元の場所に戻して置く。暫くして二つのカップを持って帰って来る
「あれ…掃除してくれたの?」「うん…少しね」「そっか…。ありが…とう…」
カップをテーブルの上に置いて、私の方を向いて笑う
「見た…?
その問い掛けに苦笑いを浮かべる
「ごめん…変な物見せてちゃって…」
しょぼんと落ち込んでしまう
「男の子だもね…あって、当然だよね…」
そっと顔に手を添えて、キスをしてあげる。驚いた顔で離れる
「な、何を…」「元気でた?私は、全然気にしてないから。ね」
そういってにっこりと笑う
「ケーキ食べよう」「あ、うん…」
ケーキを均等に切り分る。だが、さすがに二人では食べ切れるはずもなく、半分以上残ってしまう
「半分くらい残っちゃったね…」「やっぱり、小さいのにするべきだったかな…」
二人で残りのケーキを眺める
「貰っても良い?」「え、別に良いけど…。どうするの?」「美味しかったから、お姉ちゃんにも食べさせあげたくて」
「そっか…」
残りのケーキの入った箱を受け取り、家に向かって歩きだす。帰り道の途中で振り返り、また歩きだす
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