50,000HIT記念品 |
腕時計を見ながら、ある場所に向かって走っている 時間がない、くそ〜! タクシーも来ないし〜…仕方がない、このまま走るか〜! やっと思いで目的地に着く ここだったよな〜? メモを取り出し確認する よし、間違えない! 中に入ってまた走る。しばらくそのまま走っていると、後ろから声がした 「こら! 病院の中を走ったら駄目でしょ〜!」 その声を聞いて、思わず足を止める 「まったく、急いでいるのは判るけど…」 ゆっくりと振り返ると、香月先生があきれた顔でたっていた 「あら〜、君は〜」 「どうも、お久しぶりです」 「何をそんなに急いでたの?」 「水月が、子供を産むんです」 「そうなの?」 「はい、さっき電話があってもう時期だって聞いたから…」 「そうなの〜。でも、病院の中を走っても良いってことにならないわよ!」 「すみませんでした…」 「ほら、早く行ってあげないさい、きっと待ってるわよ」 「はい!」 「でも、もし走ったら、そく追い出すわよ!」 香月先生の目はマジだった。 ゆっくりと、歩いて水月の居る場所に向かう。チラッと後ろを見てみると 香月先生はまだじっとこっちを見ていた 俺って、そんなに信用ないのかな〜 え〜と、確かこっちだったよな……ここだ! 部屋の外にある、表札に水月の字があることを確認して、ドアをノックする 「どうぞ〜」 ドアをゆっくりと開けて中に入る 「ごめんな、遅くなって…」 「ううん、来てくれただけで十分よ」 ふとベットの横に目をやる、そこには俺と水月の子供が居た 「可愛いでしょ〜。男の子と女の子なんだよ」 「へ〜、めずらしいな〜」 「うん、看護婦さんもそう言ってた」 「女の子の方は、水月に似て美人だな」 「そうかな〜…」 「そうだとも!」 水月は顔を紅くした 「ねえ…」 「ん?」 「この子達の名前、考えてくれた?」 「ああ…」 「聞かせて!」 「判った。最初は、男の子の方から言うぞ」 「うん!」 「俺が考えたのは、永遠だ!」 「永遠?」 「ああ」 「ね〜、一つ聞いてもいい?」 「なんだ?」 「この名前の意味は?」 「意味?」 「うん。昔ね、聞いたことがあるのよ。人の名前って、つけた人の想いが詰まってるって」 「そうだろうな。ちゃんと考えてあるから」 「聞かせて…」 「判った。永遠に人に好かれ、愛されるような子供になってほしくて考えたんだ」 「そうなんだ…」 水月はじっと俺の顔を見ている 「女の子の方を言ってもいいか…」 顔を少し紅くしながら言う 「うん、いいよ」 「みなもだ!」 「みなも?」 「ああ、皆の元気の源になってくれるような、明るい子に育ってほしくて考えたんだ」 「そうだね…」 「気にいったか?」 「うん!私も考えてたんだ〜」 「どんなの考えてたんだ?」 「内緒!」 水月はにっこりと笑って言った 「教えてくれよ〜」 「内緒って言ったら、内緒!」 「コラ!」 ドアの方から、声がした。そっと振り返ってみると、香月先生が居た 「脅かさないで下さいよ〜」 「ふふふ…本当に二人はお似合いの夫婦ね」 水月と俺は顔を紅くする 「そろそろ、休ませてあげないとね」 香月先生は、水月の方を見ながら言った 「そうですね。また来るな」 「うん。バイバイ」 水月は笑顔で、手を振っていた。俺もそれにこたえるように、手を振りながら部屋を出る 「気おつけてね」 「はい。さようなら」 「さようなら」 俺は病院を後にした。この日から、俺は父親になった |
ーENDー |